この数年来、改革開放が進んで経済が急成長し、人々の視野が広がるに伴い、切り紙という伝統的な民間芸術は単に農家の女性自身の楽しみ、また自ら観賞する芸術ではなくなり、民間の貴重な財産として政府も重視、保護するようになった。
02年には「文化面の整備を強化し、文化産業を強大にすることに関する決定」を打ち出し、県と郷、村を結ぶ三級文化ネットワークの構築が進んでいる。また切り紙の学習教室の設置や、写真集やトランプ、プリントカーテン、カレンダー、切手ホルダー、十二支のTシャツなど十数種の商品を開発。このほかに、『安塞の切り紙』や『安塞の切り紙芸術』などの書籍も出版した。
安塞県は昨年、「第1回陝北切り紙コンテスト」を開催。日本や米国をはじめ国内20の省・直轄市・自治区から300人を超えるカメラマンが取材に訪れたほか、中央テレビや新華社、鳳凰衛星テレビなどメディア40社が報道したことで、安塞県の知名度は一気に高まった。
通りのあちこちや農家では今でも、古くて素朴で生き生きとした切り紙が目に止まる。真武洞の馮家営、譚家営の桃樹湾、西河口の山王河などに現在、「切り紙民俗文化村」を建設中。また著名な中青年の切り紙作家が開いた「民間芸術の家」が、黄土高原の風情を楽しむ観光スポットとして人気を集めている。作品もなかなか好評だ。一部の作家は全国、世界各地でその技を披露し、内外で評価は高い。82年以来、20数人の作家が日本やフランス、オーストリア、米国、フィリピン、シンガポール、台湾など10数カ国・地域で切り紙を紹介するなど、陝北の民間芸術と文化交流で大きな貢献をした。
安塞県の切り紙は観賞・収蔵価値の高いことから、「活きた化石」とか「地上の文化財」と呼ばれている。外国人専門家や愛好家のほか、中国美術館も収蔵しており、全国各地で切り紙展が開かれている。93年、安塞県は文化部から「中国切り紙の里」に指定された。
「北京週報日本語版」2007年3月6日
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