「見えない汚染」と呼ばれる土壌の汚染。国家環境保護総局は現在、汚染された土壌の改良と総合対策を試験的に実施するため、土壌の汚染状況について緊急調査を行っている。
汚水の広がりや、噴き出る黒煙といった汚染は直接目にできるが、土壌の汚染は人目に付きにくいため軽視されかねない。環保総局によると、一部地区では化学肥料や農薬、農業用フィルムを長期にわたり過度に使用したり、汚水を使って農地を灌漑したりしてきたため、土壌汚染の状況は全般的に見て非常に深刻だという。
中国は50年代末と70年代末の2回、全国範囲で土壌の調査を実施。だが、いずれも農業生産に関しての調査で、土壌の肥沃力を把握するのが主要目的だった。今回、国が10億元を拠出して行っている土壌の汚染状況調査では(1)全国の土壌環境の質を全面的かつ系統的、正確に把握する(2)重点地区での土壌汚染の類型や程度、原因を解明する(3)土壌汚染のリスクを評定する(4)土壌の環境安全に関する等級を策定する(5)汚染された土壌の改良技術を選定し試験的に実施する(6)国情に合った土壌汚染防止関連の法律・法規や基準体系を構築する(7)土壌環境を監視・管理する能力を向上させる――などが目的だ。
調査の重点地域は、基本農地保護区と主要穀物生産地帯。土壌の汚染状況では、長江デルタや珠江デルタ地帯、環渤海湾地区、東北の旧工業基地、成渝(成都・重慶)平原、渭河平原、鉱産物資源が豊富な主要都市が重点地域となる。土壌環境の質の監視・管理体系の整備では、土壌環境の監視・測定能力を育成し、土壌汚染防止法の草案を制定することが重点項目となる。
また環保総局は今年、全国の汚染源の調査や環境に関するマクロ戦略的研究、水汚染の防止と抑制に関する重大な科学技術プロジェクトの実施にも力を入れていく方針だ。これらは中国の環境保全史上前例のない基盤的、戦略的3大プロジェクトと言える。
「北京週報日本語版」2007年2月26日
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