過去のオリンピック主催国の一部で見られた開催後の経済衰退現象は、「ポストオリ
ンピック不況」と呼ばれる。北京大学光華管理学院名誉院長の厲以寧教授は5日付の「北京日報」に寄稿し、「ポストオリンピック不況」の原因を分析している。厲教授は、オリンピック後、中国経済に新投資スポットが来ないのではという心配は無用であり、「ポストオリンピック不況」が生じることはあり得ないと指摘している。同文章の要旨は以下の通り。
「ポストオリンピック不況」が一部国家に起こる主要因は次の3点。
(1)オリンピック自体ひとつの資源であり、この資源を利用することで、財産を築くことが可能だ。ただし、後続産業のサポートが無ければ、苦境を脱することは難しい。
(2)オリンピック開催前に投資ブームが形成され、このブームが開催後反落するのは自然の成り行きである。鍵となるのは、国内に新投資スポットが起こるかどうかであり、また、このブームが経済成長をリードできるかどうかが、投資反落による不景気が続くかどうかを左右するものとなる。
(3)オリンピックが終わるまでの一定期間、就業機会は増加する。オリンピック終了後、一部就業者がそのまま仕事を続ける以外、残りの大部分の人々は再び仕事を探さねばならず、就業圧力が増大する。
中国経済はここ数年、8~10%の急成長を維持しており、オリンピック開催後、中国に「ポストオリンピック不況」が起こることはあり得ない。その根拠として3点挙げられる。
(1)投資の慣性が働く。大型プロジェクトは必ずしも1年で完成しない。プロジェクトが一旦始まれば、連続した投資が必要となる。インフラ分野における政府の連続した多額投資は、経済成長を牽引するにあたり、重要な役割を果たすといえる。
(2)中国の民間経済がスピード成長している。2005年末時点でのGDPに占める割合は、民間資本経済50%、外資、香港・澳門(マカオ)・台湾資本15%、国有資本経済35%。GDPに占める民間経済の割合は、2006年末の時点で50%を上回ると見られる。
(3)都市・農村住民のニーズがグレードアップしている。民間ニーズは多様化の方向に向かい始め、国内市場は着実に拡大している。住宅、レジャー・旅行、教育、医療、健康品、および自動車など耐久消費財の購買意欲は、今後しばらくの間、高まり続ける見通し。
(4)固定資産が大掛かりな再投資に直面している。環境保護に対する条件が一層厳しくなり、資源消耗の削減に対する責任がより重くなっているため、設備を更新しない企業は競争力が落ち、淘汰されることもあり得る。固定資産への再投資は、中国の経済成長をリードし続けている。
「人民網日本語版」2007年2月5日
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