水資源の分布も非常に不均衡であり、土地と鉱物資源や生産力の分布とバランスが取れていない。水資源は南方が多く、北方は少なく、東部は多いが、西部は少なく、山間部は多くても、平原地区では少ない。年間降水量は、東南部の3000ミリ超から、西北部に向かうにつれ少なくとも50ミリずつ逓減していく。有史以来、洪水や干ばつなどの災害が頻繁に発生してきた。北方のある地区では、1人平均水資源は世界で最も干ばつの深刻な国に相当する。水の豊富な南方では、逆に常に季節的な干ばつが発生しており、灌漑に依存する主要農作物の水稲や一部工芸作物は水の使用が厳しい状況にある。世界的な気候変動の影響から、この20年近くの間、南方では河川に流れ込む雨水量と水資源総量はやや増加したものの、北方では水資源量は著しく減少。また一部流域の水不足は、周期的から絶対的な状態に陥っている。
こうしたことから、政府は市民生活と経済社会の発展に必要な水を基本的に保障するため、一連の措置を講じてきた。50数年来、全国8万500カ所にダムが建設されたことで、総貯水能力は約5000億立方メートルに。また約100万件の引水プロジェクトや40万カ所で揚水プロジェクトを実施したほか、水門を約3万カ所に建設したことから、給水能力は5800億立方メートル余に達した。政府は近年、古代に建設された世界最長の運河、北京を起点に、天津や河北省、山東省、江蘇省、浙江省などを経て、海河と黄河、淮河、長江、銭塘江の5大水系を貫通する全長1794キロの大運河の修復にも着手。同時に、数十億元をかけて新たな運河の建設にも乗り出した。「南水北調」と呼ばれ、南方の長江支流の水を北方に送るプロジェクトだ。
浪費と過度の開発
中国は長年にわたり水不足が深刻でありながら、水資源の利用方法や効率は悪く、水は驚くほど浪費されてきた。
農業用水の効率を見ると、平均灌漑水による穀物生産量は約1キロ。世界先進水準の国(例えばイスラエル)では同2.5~3.0キロだ。節水型灌漑面積が有効灌漑面積に占める割合は35%。一部先進国では80%を超えている。
工業用水の効率、とくに水の重複利用と再生利用率も低い。04年を見ると、1万元GDP(国内総生産)比の用水量は399立方メートルで、世界平均の約4倍、米国の8倍だ。1万元工業増価値比では、用水量は196立方メートルで、重複利用率は約60~65%。一方、西側先進国はそれぞれ50立方メートル以下、80~85%。
日常生活でも、水は常に無意識的に浪費されている。洗車や芝生の維持、理美容など……。廃水の回収・処理がなされまま、大量の水が1回使用されただけで流されている。暫定統計によると、都市部では水道管の著しい劣化で水道水の20%が漏出している。この比率は西側先進都市の2倍強に相当する。
浪費以外にも、過度の開発でより多くの問題が生じている。北方の一部地区では、生態や環境用水を犠牲にして経済社会の水需要を維持しているのが実情だ。都市部や農村部の井戸灌漑地区を中心に、基準を超えて地下水を汲み上げている地区は、80年代初期の56カ所から約160カ所、面積は8万7000平方キロから18万平方キロに増大。その結果、地盤沈下や水の硬質化など重大な生態環境問題が起きている。
「節水型社会」を建設
前途は楽観できないが、一部都市は水の使用量削減に乗り出した。
建設部の汪部長は「水危機の問題を根本的に解決するには、節水を大々的に提唱し、水資源利用の効率と効果を高めて、『節水型社会』を建設しなければならない。経済社会の持続的可能な発展にとっては、これが必然的な選択だ」と強調。
汪部長によれば、「節水型社会」と通常言われる「節水」には相互に関連性があると同時に、大きな違いもある。水資源利用の効率と効果を高めるのが共通点だ。相違点は、いわゆる伝統的な節水とは、節水のためのプロジェクトや施設、機器、技術などに重きを置き、行政手段を通じて推進する。一方、節水型社会の節水とは主に、制度を整備し、生産関係の変革を重視することで、経済手段を主体とした節水メカニズムを構築するというものだ。
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