北京は2008五輪の円滑な運営を確保するため関連する法律・法規を制定する
呂 翎
「五輪立法協調グループ」(以下「グループ」と略称)が4月10日、北京市の「2008環境整備指揮部」(以下「指揮部」と略称)内に発足するとともに、第一期として交通や公安、衛生、環境保護など27部門にかかわる五輪関連の立法化を求める約70項目の検討課題を示す通達が出され、五輪関連の立法化作業は本格的にスタートした。
指揮部で陣頭指揮を取る吉林副市長は「いわゆる五輪関連の立法化とは、法典のような『五輪法』を制定するというのではなく、五輪開催の準備や運営、サポート、保障、サービスなどの作業に関する様々な法規・規則を定めることだ」と説明した。
グループの仕事は①立法化に向け各方面の指導的考えを明確にする②立法化に関する要望や提言を取りまとめて分析する③重要な事項を提案し、関連する法規や規則の早急の制定を促進する④関連部門が五輪開催中に起こりうる問題の対応策や規定を制定するよう指導する――など。
これまで大型イベントを開催する場合は通常、政府が行政命令を出して社会各方面の管理に当たっていた。しかし、第29回オリンピック開催中は、各国の選手や役員、観衆、観光客など北京を訪れる人々に、ここでは何をしていいか、何をしてはいけないかを理解してもらい、取締官には法律行使の範囲を明確にさせることで、どんな事態に直面しても、適時かつ効果的に処理できるようにするため、都市管理に関する立法化を進めることになった」
「立法化に当たっては責任制を実行する必要がある。何ら提案もせず、しかも、開催期間中に問題が起きても、対処することができなければ、必ず主管部門の関係責任者の責任を追及する」との考えを強調した。
立法化の検討課題で国内外で広く注目されているのが、市民の休暇、ビザの発給、車の交通制限などだ。休暇問題では、北京以外の市民も休暇を取れるかが論議の焦点となっている。専門家は「北京はアテネ五輪の経験を学ぶべきだ。市民が休暇を取って旅行に出れば、開催中の交通渋滞は緩和できる」と提言。アテネ五輪開催期間はちょうどギリシャ人のバカンスシーズンに当たったことから、400万人余を抱えるアテネはほぼ人口が半減したという。
ビザ発給については、2003年のノーベル経済学賞の受賞者・米カリフォルニア大のクライブ・グレンジャー教授は「一部の外国人は実際にビザを取得する手続きに煩わしさを感じている。手紙やその他の方法でビザが取得できれば、例えば、電話で受け付けたり、メールで返信したりできるようにでもなれば、申請はもっと簡単になり、より経済的だ」と提案する。
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