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今年年末までに、北京は薬殺刑を全面的に実施する見込みだ。死刑執行に薬殺刑の全面採用を予定する地域としては、河北省、成都市、太原市などに継ぐものだ。1996年に刑事訴訟法を改正し、薬殺刑という方法を増設してから、1997年に雲南省昆明市が全国で最初の薬殺刑を実施、さらに今一部の省・市が薬殺刑を全面的に実施することを推進するに至るまで、13年の歩みは中国の死刑執行方法における人道化の進展を反映している。

死刑囚に薬殺刑を実施するか、それとも銃殺刑を実施するか。この二種類の死刑方法をめぐる論争は1997年から今まで続いている。それは生命に関わるものだからであるだけでなく、さらに重要なのはこれによって人間性や人道化についての検討が広がっているからである。

山西省太原市にある薬殺刑の刑場
北京郊外にある「北京秦城監獄」
薬殺刑、刑法の人道化の歩み

最近、北京が2009年末から死刑囚に対し、全面的に薬殺刑を実施することが内外から注目されている。私は、これは中国が最終的に死刑を廃止する方向に向かっていることと一致していると見ている。

中国政府はかねてから、長い目で見れば、中国は最終的に死刑を廃止することになるが、現在は条件がまだ備わっていないと指摘してきた。1996年に改正後の「刑事訴訟法」に、死刑囚に薬殺刑を採用する内容が加わったが、この立法の背景としては、1984年に国連経済社会理事会で採択された「死刑に直面する者の権利の保護の保障に関する決議」で、死刑制度の存続国は死刑を執行する場合「できるだけ痛みを軽減する方法で執行すべきだ」と要求されていることがある。検討を経て、薬殺刑は銃殺刑より死刑囚の痛みを軽減し、死刑囚の死体を完全な状態で保ち、銃殺による脳漿破裂といった残忍な場面を避けることができる、と立法者は考えたのだ。


死刑執行方法の変革は他と切り離された単独の事柄ではない。これは刑罰と刑罰執行の人道化を具現するものである。今、薬殺刑による死刑執行は専門の場所で行われ、これは死刑に対する社会の依存度を徐々になくしていくことに役立っている。

薬殺刑がなぜ銃殺刑に取って代わりつつあるのかは、中国で死刑執行が大幅に減っていることにかかわっている。中国は2007年1月1日から死刑審査・承認権を最高人民法院に戻した。これを契機に中国の死刑の判決と執行は急激に減ってきた。2007年、最高人民法院が審査した死刑事件のうち、15%が否決され、その上全国では死刑執行猶予と判決された人数が数年来初めて死刑と判決された人数を上回った。死刑が減る情況の下で、2007年度の爆発、殺人、放火など悪質な事件の犯罪率はかえって2006年に比べて顕著に下がった。これは死刑に過度に依存しなくても社会治安をうまく管理できることを示すものである。

(作者は中国社会科学院法学所の劉仁文研究員)

「北京週報日本語版」2010年1月14日

「薬殺刑」は人道化を顕示するわけではない

人間に対する最も重い懲罰は生命を剥奪することで、その死の前に死への恐れに直面させ、心理的苦痛を感じさせることにしくものはないと言われている。これについて、法律も、社会の公平を体現しようとすれば、このような法律手段で公民の合法的権益を守り、不法分子の犯罪に効果的に打撃を与えなければならない、と説明している。

死刑囚は死に方法を選択する権利がある。そのため、薬殺刑は死刑囚にとって苦痛を軽減し、人格の尊厳を守れる方法で、刑罰執行の発展傾向や刑罰執行の人道化を示すものであると考える人が多いが、筆者はこれに賛成しない。「薬殺刑」はある程度は人間化の側面を示し、人道化を特に強調しているものの、ある程度は犯罪者の気勢を助長している。理性を失った犯罪者に薬殺刑という方法を選択させれば民衆の怒りを静めるのは難しくなり、ひいてはさらに多くの民衆の国の法律に対する質疑と憤りをかうのではないか。


筆者の考えでは、薬殺刑の増加に肯定的な立場をとっている。これは法体制改革推進、法律完備、人権保障の効果的な措置である。長い目で見れば、これは残忍な人間性を抑えることに役立ち、最終的に死刑を廃止するための下地をつくる。しかし、執行方法を選択する権利については具体的な問題を具体的に分析すべきである。すべての犯罪者に自主的選択する権利を与えることはできない。情状が非常に悪質で、社会に悪影響を与え、犯罪事実を認めようとしない犯罪者に対しては法律機関が銃殺刑を実施すべきである。それによって人々を痛快な気分にさせ、犯罪者を効果的に抑止することができる。

「北京週報日本語版」2010年1月14日

 
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