本誌記者 吕翎
兵馬俑一号坑の第3次発掘チームを統率する許衛紅さん
兵馬俑一号坑の第3次発掘
秦(紀元前221-206年)始皇帝陵の兵馬俑一号坑に入ると、巨大な兵馬俑の軍陣が目に入る。すでに発掘を終えた面積は2000平方メートル。木質の戦車8台、馬車を引く陶製の馬32頭、各種の武士俑1087体、青銅製の剣、戟、矛、金鉤、石弓など486点、束ねた銅製のやじり280束、ばらばらになった銅製のやじり1万895点、さらに大量の車馬が出土した。歩兵を主体とし、戦車と歩兵の間に大型の兵馬俑が並ぶ軍陣となっている。兵馬俑一号坑の第3次発掘チームを統率する許衛紅さんはまさに、このすべての考古学者が憧れる場所で仕事をしている。
初めて許さんに会った時、彼女のような小柄の女性と武威雄大な兵馬俑はどうしても結びつかなかった。兵馬俑一号坑の第3次発掘を指導するのは、体のがっちりした西北地方の男性に違いない、と想像していた。だが、話をしていくうちに、女性らしいしなやかさのなかに男性のような豪放さも感じられ、お茶目なところもあった。
「世界の八大奇跡」と呼ばれる始皇帝陵兵馬俑一号坑で2009年6月13日午後1時、第3次発掘が開始。その重責を担うのが43歳の許さんだ。今回の発掘面積は約200平方メートル。幾つかの同等の区画に分類し、区画ごとに分かれて作業を行い、辺洞が1つ、隔壁が3つ、過洞が3つ含まれている。8月28日に取材した時点はまだ目新しい発見はなかったが、それでも淡々とした俑坑での作業が活力に満ちた考古学者の情熱を失うことはなかった。むしろ目は輝きを増していた。
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