文字を記載するために使用される媒体はそれぞれの文明ごとに異なるものの、紙が発明される以前の古代中国では、主に木簡や竹簡が使用されていた。しかし、木簡や竹簡は物理的にかさばりるため保管が容易ではなかった。また、絹に文字を記載するということもあったようであるが、絹は媒体として使用するには余りに高価すぎた。
これまでに見つかっている紙のうち、最も古いものは紀元前150年頃に作られたものであり、その用途は文字を記載するためのものではなく、銅鏡などの貴重品を包むための「包装紙」として使用されていたものと見られている。用途はいずれにしても、この頃にはすでに「紙」が発明されていたのは間違いない。
後漢時代、皇帝「和帝」は、「安価で保存の容易な記録媒体」の開発を、臣下の蔡倫に命じる。そして西暦105年、樹皮や麻から安価に紙を作る方法が完成し、紙は大いに普及、中国の文化のみならず、世界の文化の発展に貢献することとなったのである。 |