磁場を持つ「石」である磁石は古代ギリシャの時代には発見されていたという。地球自体が巨大な磁石であることに気付いていなかったものの、磁石の持つN極とS極が地球の持つ磁場に反応し、常に一定の方向を指し示すことは紀元前300年ころの中国ではすでに知られていたという。
中国の羅針盤は、航海中に現在位置や進行方向を知るための道具ではなく、風水で「吉」とされる南の方角を知るための道具として使用されていたといわれている。その証拠に古代中国の羅針盤は現代のものとは逆に、南を指すS極に矢印などの印を取り付けていた。
11世紀、宋の時代になると、磁石の針を水に浮かべる形の原始的な羅針盤が発明された。この原始的な羅針盤は船の揺れに弱いという欠点があったものの、中国からアラビアを経て、ヨーロッパへと伝えられる。その後、ヨーロッパで、揺れる船の上でも使用可能な実用的な羅針盤が開発され、航海術が著しく発展、大航海時代が幕を開けることになる。
15世紀に始まった大航海時代は、主にポルトガルとスペイン両国による主導であった。クリストファー・コロンブスによるアメリカ大陸到達や、ヴァスコ・ダ・ガマによるアフリカ南端の喜望峰航路の発見など、東西交流の幕開けでもあった。
そして、1543年、現在のマカオに進出していたポルトガルの船が日本の種子島に漂着、同じく中国四大発明の一つである「火薬」と共に火縄銃を日本に持ち込んだのである。
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