火薬が発明されたのは6~7世紀頃の唐の時代だといわれており、当時の火薬は、21世紀の現在でも花火などに使用されている黒色火薬という硝酸カリウムや硫黄などを混ぜて作るものであった。
その後、11世紀頃の宋の時代になると、火薬は投石器などの戦争の道具として使用されるようになる。確認できているうちでは、1259年に竹の枝を火薬でロケットのようにして飛ばしたという記録が存在するが、この原始的な「ロケット」はあくまでも威嚇用のものであったようだ。
その後、世界に広まった火薬の持つ爆発力は専ら軍事目的に使用されるようになる。15世紀前半にヨーロッパで起こったフス戦争では、火薬の爆発力を推進力に代えて弾丸を発射する武器、銃が世界で始めて使用された。それから間もなく大砲や爆弾も発明され、戦争で使用される武器の破壊力・殺傷力は桁外れなものとなっていく。
しかし同時に、火薬の用途は軍事のほかにも産業的用途や花火などにも使用されていた。火薬の発明によって可能となった「発破」は、鉱物資源の採掘やトンネルの掘削のために行われるもので、従来に比べて著しく生産性が向上した。また、火薬のもう一つの用途である花火が初めて作られたのは、火薬の発明とほぼ同時期だったと考えられている。 |