本誌記者 王喆
中国は五輪招致に成功したその日から、7年の歳月をかけて、五輪に必要なすべての準備に真剣に取り組んできた。7年後、交通はよりスムーズに、食品はより安全に、環境はより美しく、空気はより新鮮になった北京は自信をもって、国際社会の各方面の検査を受け入れることになる。
●新ターミナルビル
北京首都空港の第3ターミナルビルは、青海・チベット鉄道、三峡ダムに次ぐ世界の関心を呼んだ中国第3の大工事となった。新ターミナルビルに設置されたエレベーターは445基、駐車場は収容台数7000台。これにより北京首都空港は世界最大の空港の1つとなった。建築総面積は約98万6000平方メートルと、170のサッカー場に相当する。これほど大規模な工事でありながら期間4年未満で完成した。
首都空港第3ターミナル
新ターミナルビルは先進的な設計理念、科学技術と原材料を採用。以下4つの特徴を備える。
◆外観:巨大な竜に酷似しており、雄大で豪華、透明、金色の屋根に紅色の柱と、北京の文化的特色を体現している。
◆高速:国内で初めて各ターミナルビルを結ぶ旅客快速輸送システムを採用。預かり荷物の処理でも世界最先端の自動分類・高速搬送システムを採用している。搬送スピードは最速毎秒7メートル、1時間に処理可能な荷物は2万点。荷物のトレースや識別ではレーザースキャンコード技術などを採用、精度は99.9%に達する。
◆エネルギー:ターミナルビルと駐車場の屋上に天窓を設けて自然光を採り入れているため、昼間の照明は大幅に減少する。ガラス窓では中空低輻射メッキフィルムガラスを採用。採光のほか、雑音や熱遮断も確保できる。一部の天窓は自動開閉による通風が可能であり、ビル内の温度の調整も可能。このようにして年間160万キロワット時の電力を節減できる。
◆人に優しい機能:特別な旅客に十分配慮するなど、人に優しい目配りが十分に生かされている。出発・到着旅客はわずか1階下りるだけで手続きを済ますことができる。歩く歩道は4.8キロ。バリアフリーも完備。トイレは46カ所。通常の男女別トイレのほか、母子や性別に関係なく利用できるトイレも設置されている。性別無しトイレは障害者、介護する異性の同伴者の使用も可能で、至便かつプライバシーも保護できる。母子専用室内は清潔で、嬰児の世話をすることができる。さらに小型の温水給湯器も設置されているため、ミルクづくりやおむつ換えなどにも非常に至便。
宗教者が礼拝できるよう、ビル内2カ所に礼拝室が設けられている。
出発、到着後の便宜を図るため、市中心部との間に2本の高速道路が開通した。
新ターミナルビルの完成で、首都空港の離発着能力は大幅に向上。従来の1日1000便から1700、1800便まで増大し、エアバスA380など新世代の大型旅客機も新滑走路での離発着が可能となった。新ビルは世界最先端の自動旅客機ナビゲーションシステムを導入。低空視界の際でも離発着ができるようになったことで、気候が原因による運行の遅延は大幅に減少した。
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