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本誌報道  
オリンピックに精密な気象予報

 

北京はまた、人工による「防雹(ひょう)」、「消雨」などの実験・研究を進めた。「目下、北京市はすでに人工で天気に影響を与える先進的な技術を持っている」と張薔氏は言う。国内外における気象の人工調節の研究と実験結果に基づいて、北京市は小規模な範囲で、局地的な弱めの降雨に対して人工消雨を実施し、良い効果を見ることができた。「今のところ、小雨から中程度の雨までは人工で消すことができる」と張薔氏は言う。

北京市気象局の王玉彬副総工程師によると、気象の人工調節にはいくつかの方法があるが、そのうちの1つは雲の中に触媒物質を散布して降水メカニズムを調整し、雨を降らせないようにするものだ。もう1つの方法は、広い範囲にわたる降雨の場合、その上流地点で事前に雨を降らせるという方法。「この2つの方法の実施過程にはほかにも多くの要素があり、どれも非常に重要だ」と王玉彬氏は言う。

人工消雨の際、雲層内に散布する化学製剤が環境に汚染をもたらすかどうかについて、王氏は「雲中に散布するのは通常、冷却剤または人工結晶核で、冷却剤は液体窒素なので環境に対する汚染はなく、人工結晶核はヨウ化銀だが、人口消雨の際はその散布量は比較的少なく1平方キロ当たり1グラム」と指摘するとともに、03年から07年まで「主な水系に的をしぼってモニタリングしているが、環境基準を超えるような状況は現れていない」と説明する。

いずれにせよ、天気予報は何より重要だ。「北京五輪の気象サービスの特徴は、求められることが高度で、難度が高いこと」と指摘するのは北京市気象局の研究員で市政府専門家顧問団の顧問でもある呉正華氏だ。同氏によると、IOCの要望に沿い、五輪の際の気象は数時間ごとに連続してその変化、具体的な各競技施設の天気予報を提供する必要があるという。だが、ここ4回の五輪大会の開催都市に比べ今回、五輪期間中の北京の総降水量は最も多く、降水日数も最も多い。過去の気象データは、この時期は北京の天候が最も複雑に変化するときで、突発的かつ局地的な強雨が襲い、2、3日に1回は降水があることを示している。このため、天気予報の難度はいっそう増し、さらにきめ細かな高度な予報が求められている。

しかし、多くの専門家は、五輪期間中に質の高い天気予報を提供することについては自信たっぷりだ。「われわれは予報の不確定性からは永遠に逃れられないが、不確定性を減少させる努力はできる」と語るのは、北京市気象局副局長の王建捷氏。もう一人の副局長、王迎春氏は「“天に不測の風雲あり”とはいうものの、精確な気象変化を予報することは“至上命令”」だと言う。

王迎春氏はかつて中国気象局北京都市気象研究所の所長を務めた人物で、都市気象の精細な予報技術の研究や予報システムの応用開発に一貫して携わってきた。彼女が主宰する「オリンピック精密予報技術研究」プロジェクトは、強い対流が近づいたときの予報技術と五輪競技施設の気象を客観的に予報する方法を重点的に解決し、五輪天気予報のさまざまな難題を解決するために科学技術面で有力なサポートを提供している。これらの成果は、テスト競技の気象サービスや五輪気象サービスの訓練活動のなかであらゆる角度から検証され、すり合わせが行われ、適正に応用された。

「われわれは、世界気象機関(WMO)が組織して行った北京五輪気象予報の『モデルプラン』も実施した。これは“気象のオリンピック”と呼ばれている」と王迎春氏は語る。同氏によると、米国、カナダ、オーストラリア、香港、中国など多くの国と地域から来た世界の先進的な短期予報システムが北京で調整され取り付けられたあと、検証と評価が行われたという。「このプランの実施は五輪期間中の強い対流時の気象予報の正確性を高めるのにプラスとなる」との考えを同副局長は示した。

中国人にとって、オリンピックは国を挙げての一大イベントだ。「五輪気象の技術保障研究」というテーマは「国家科学技術難関突破計画」の中の「五輪科学技術特別項目」の第1課題に組み入れられている。この課題グループの座長で、元中国気象局予測減災司司長の章国材研究員は、北京全体(青島など全国の五輪競技開催都市を含む)の五輪気象保障システムは「精細」、「個別性」、「先進性」という3つの特徴が際立っている、と話す。「精細」とは、数値モデルの解析度の高さを示すもので、予報製品が漏れなく全工程で活躍し、予報の要素は極めて広く切り開かれている。「個別性」とは、各五輪競技とその開催地の特殊性を十分に考慮するということで、競技活動と競技項目に焦点を当てたものだ。「先進性」とは、中国で初めてリアルタイムの高精度気象予報を可能にした実用技術・手段と業務能力のことだ。

精細な天気予報のための前提は気象観測にある。03年からこれまでに気象部門は多くの五輪競技場に自動気象観測ステーションを建設した。これらは気温、気圧、湿度、風向き、風速などの観測のほか、スポーツ競技に必要な特殊な事項の観測機能を具えている。現在までに北京ではすでに自動気象観測ステーションが200近く建設されているが、これは市街区では5キロに1施設、郊外区では10~15キロに1施設の割合で分布していることになり、大がかりな観測網が築かれている。

現地以外にも、協力都市には北京五輪気象サービスセンター、聖火リレーの重要地区には気象観測ステーションが建設され、多くの地区を結ぶ映像サービスシステムが構築されている。

先ごろ、北京市気象局はついに「目下、北京五輪の気象保障活動は緒に就いたばかりだが、精細な気象予報のサービスシステムはすでに築かれた」と「精神安定の処方箋」を出した。王建捷副局長は、「それぞれ異なる活動の特徴に的をしぼって、関係方面が気候分析、現場のサービス技術、緊急保障など各方面の総合予報サービスを提供することができる。通常の観測以外にも、競技場周辺の自動気象ステーションの観測データ伝送時間が、従来の日ごとの伝送から時間ごと、ひいては10分ごとへと短縮される」と言う。

さらに同副局長は「5月までに北京の一部の街区に情報スポット、スクリーン、予報警報タワーを建設し、気象部門が情報をスクリーンに掲示し、市民、観光客らは科学的で役に立つ、分かりやすい気象情報をいち早く知ることができる」と語った。

「北京週報日本語版」 2008年3月31日

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