二、日本の対中国輸出と「東アジア分業体制」
日本の対中国輸出には、さまざまなルートが存在する。日本の対中国直接輸出の状況は、両国の統計データにより示されている通りだ。その他に、日本は香港・台湾・韓国に対して直接輸出を行なっているが、その内の多くは中国大陸に迂回輸出されている。迂回輸出には、日本製の材料やコア部品、香港・台湾・韓国の輸出部品が含まれ、これを中国で加工・組立し、最終的に完成品とする。日本の対香港・台湾・韓国の巨額の貿易黒字、香港・台湾・韓国の対中国大陸の巨額の貿易黒字を見れば、これも理解できるだろう。日本はこれを、「東アジア分業体制」としている。欧米企業も実際には、日本製の工業デザイン・材料・コア部品を購入し、これを中国で組み立て、再び欧米に輸出している。そのため「東アジア分業体制」は現在、すでに「世界全体に広がる分業体制」となっている。日本は東アジア分業体制により、輸出生産能力を分散し、貿易摩擦を減少させているが、「貿易摩擦の火種」を中国に埋めている。中米・中欧貿易摩擦が過熱化する中、日本の水面下の輸出も増加している。そのため、日本の迂回輸出は当初、中国の輸出拡大に対して積極的な影響をもたらしていたが、その後は中国貿易摩擦の激化に対して負の影響をもたらすようになった。
筆者の分析によると、日本の対中国直接輸出に迂回輸出を加えた場合、日本の輸出総額のほぼ30%を占めることになる。
三、中国の対日輸出 日本企業が利益を得る
中国の対日輸出は、単純な日本市場に対する依存ではない。このうち60-70%は日本企業によるもので、中国で加工後に日本に再輸出するなどしている。そのため、中国の対日輸出の大幅かつ持続的な増加の中で、日本企業が重要な役割を果たしている。中国の対日輸出はひとつの形式に過ぎず、日本企業がその大部分の利益を得ている。
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