とはいえこれは理想に過ぎない。新たな経済対策の効果は野田政権の存続に影響し、最終的には政権の「政治生命」を絶つ可能性もある。さきに野田首相は増税法案の可決に向けて紆余曲折を経て、満足のいく結果を得たとはいえ、与党・民主党は党内分裂という高い代償を払うことになった。また野田首相は次の総選挙で受け身の立場に立たされることになった。
今回の政府予備費の転用により、野田首相は一層防戦が難しくなる。自由民主党と公明党は補正予算案に対して消極的な態度を取り、野田首相がかねてより推す「特例公債法案」もまだ成立していない。新たな経済政策がまもなくスタートしようとする中、野田首相は予備費を活用するしかないのだ。日本の法律では予備費の利用に国会の承認は必要ないが、これに関連して債権を発行し資金を調達するなら承認のプロセスを経る必要がある。参議院で多数を占める野党が新たな国債発行の承認を拒絶すれば、日本の財政予算は11月中に底をつくことになる。
財政が緊迫する中、野田政権は反対勢力から前倒しで解散・総選挙を行うよう迫られることになり、日本はふたたび政局の混乱状態に陥る可能性がある。そうなればめぐりめぐって日本経済は深いダメージを負うことになる。(編集KS)
「人民網日本語版」2012年10月19日 |