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評論  
日本企業の敗北宣言は時期尚早か 心臓部は失っていない

閣僚中心経済の影響根深い

「資金密集型産業(製造業など)と知識密集型産業(マンガ産業など)の対照的な利益の差は、グローバル競争における日本経済の非力を露呈している」と孫氏は言う。円高、融資能力の欠乏、日本はライバルに益々太刀打ちできなくなっている。

自動車を例に上げると、ドイツメーカー、そして近年中国や韓国などのメーカーも成長を遂げている。特に中国は、比較的安い労働力が強みとなり、海外のメーカーが日本から中国のメーカーにパートナーを変えたことなども功を奏している。そのような状況で、日本の自動車産業チェーンはどんどん後退している。孫氏は、「日本のメーカーには、70年代や80年代のように、産業チェーンを丸ごと支配するようなパワーはとっくにない。今では、せいぜい産業チェーンの一部、例えば自動車部品などで比較的有利な立場にあるだけだ」と指摘する。

利益を「人の一存で決める」ことができない状況の中、日本の企業は多方面で「他人の制約」に苦しんでいる。販売の面で言えば、欧米の財政危機の影響を受け、中国の経済成長のスピードダウンによる需要の縮小の影響を受け、円高による企業売上への打撃を受けている。原材料の面でも、国際市場の価格高騰の制約を受けている。「利益が好調なマンガやゲーム産業において、日本はアジアばかりか世界においても敵うものはいないほどだ。原案、製作、発行から関連グッツの販売に至るまで、発言権は全て日本にあり、つまりは日本が産業チェーンを支配しているというわけである」と孫氏は言う。

しかし、2011年の東日本大震災が日本経済に与えた影響、特に製造業は想像を絶する打撃を受けた。華東師範大学国際金融研究所の黄澤民所長は「昨年3月の東日本大震災、一連の大津波や福島原発の事故により、東北地方の工場・精密部品の産業チェーンは大痛手を被った。そして夏にはタイで大規模な洪水が発生し、東南アジアに保有していた産業チェーンは正常に稼動する事ができず、日本企業は国内外で大損失を被った」と指摘する。

日本企業の内部的要素も現在の悲惨な状況の原因である。日本では、会社に対する忠誠心が不可欠であると考えられ、その忠誠心は時として、社員の能力や貢献度よりも重視される。それは欧米の企業と大きく違っているところだ。

欧米企業は会社が財政危機に陥った時には、高給の古参からクビを切る。しかし、日本では勤務年数が長い古株ほど居座り、クビにされるのはこれから伸びる可能性を秘めている若い社員である。「このやり方は会社のコストを下げる賢いやり方ではない」と孫氏は指摘する。そのため、財政危機に直面した時、日本の企業は改革を恐れ、逆に益々落ちていくのだ。

抜本的なことを言えば、企業の財政危機は閣僚中心の経済モデルの影響もある。日本の経済発展において、最も発言力があるのは閣僚である。つまりは執行部の責任者ではあるが、経済のエリートではない。また、閣僚は言わば終身雇用であるため、安定を求め、改革を好まない考え方は日本経済にも波紋を及ぼし、最終的には企業の管理体制や戦略にも大きく関わってくるのだ。

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