▽EU、中国周辺国との「自由貿易圏」建設に意欲
EUと自由貿易圏を形成するのは日本が初めてではない。EUは近年、中国の周辺国との自由貿易圏構築に力を入れている。今年7月にはEUと韓国のFTAが発効する。また、EU-シンガポール、EU-インドのFTA交渉も進められている。
業界関係者は、「EUが日本とのEPA事前協議に合意したのは、日本市場の更なる開放を推進したい狙いがあるだけでなく、中国のことも考慮してのことだ。EUはすでに韓国とFTAを締結し、ASEANとも関連の交渉を進めている。EUは、中国の周辺国と自由貿易圏を構築すれば、中国に対する貿易面での依存を軽減できると考えている」と指摘する。
商務部研究院欧州所の姚玲研究員は「長期的に見れば、中国の対EU貿易は打撃を受けるだろう。しかし、影響はすぐに現れることはなく、数年をかけて徐々に現れるだろう。中国-ASEANのFTAを例に取ると、中国はASEANとのFTA締結後、日本製品に対する依存度は大きく減少したが、この影響は約10年間かかって徐々に現れた」と述べる。
商務部国際貿易経済協力研究院の専門家・梅新育氏は、「EUと日本のEPA締結が中国製品の輸出に及ぼす影響は小さいだろう。EUと日本はいずれも保護傾向が強く、双方のEPA締結は、双方間の市場参入の解決がねらいだ。我々に影響が及ぶのは、EUか日本のどちらか一方とすでにFTAを締結しており、さらにもう一方と輸出構造が重複し、ライバル関係にある場合に限られる」とする。
一方、姚玲研究員は、「もしEUが中国の周辺で引き続き『貿易包囲網』を拡大し続ければ、中国の対EU貿易は影響を受けるだろう。韓国、インド、東南アジア諸国、中国の輸出品の構造は似通っており、遅かれ早かれ打撃を受けるだろう」と指摘する。(編集SN)
「人民網日本語版」2011年6月1日 |