2011年5月31日、中国の全国日本経済学界、中国社会科学院日本研究所、社会科学文献出版社が共同で開催する「2011年日本経済青書発表会」が北京で行われた。同発表会では、専門家による日本経済および日中経済協力の現状と展望についての議論を交わし、今後の日中経済・貿易動向を展望した。また、社会科学文献出版社が出版する2011年日本経済青書『日本経済と中日経済貿易関係発展報告(2011)』(以下、「青書」)が正式に発表される。
青書によると、中日貿易は健全で安定した状態にあるものの、中国の対外貿易総額の成長スピードと比較するとその成長は低速だ。2001~2010年の10年間、中日貿易の平均成長率はたった14.4%前後で、同時期の中国対外貿易総額成長率21.2%や中米、中欧、中韓の貿易の伸びと比較するとその差は歴然だ。
中日間貿易の増加率が長期にわたって中国の対外貿易額の増加率を下回っているため、中国の貿易総額に占める中日間貿易の割合は低下している。2001年に17%だったこの割合は、2008年には10.4%まで下がった。2010年、中日貿易は回復傾向の成長を見せたものの、やはり貿易総額の盛業より低く、割合はさらに下がって10.02%となっている。
経済青書では、中日貿易にこの高位変動現象が見られるのは、ある意味から言えば、中日貿易関係の成熟と安定かもしれない。また、中日貿易が減退期、停滞期に入っていることを映し出しているともいえる。こうした高位変動には深層的な原因があり、経済に関係ない要素も含まれるだろう。双方の政治信頼関係の欠如、釣魚島漁船衝突事件のようなアクシデントも二国の経済関係に影響を与えているだろう。同時にこの貿易を引き上げる大きなプロジェクトの欠如も挙げられる。
また、青書の指摘によれば、2002年来、中日貿易において中国側はずっと輸入超過状態にあった。2002~2010年の9年間の輸入超過総額は2362.36億米ドルに及ぶ。しかも、この輸入超過は加速しており、特に2010年は556億米ドルに達している。
分析によれば、輸入超過が発生する主たる原因は、中日間では製造業界内の貿易が占める比重が高いことだ。日本のハイエンド部品の輸入が多い。中日間の貿易構造は徐々に垂直分業から水平分業への転換時期にある。ただ、全体的に言えば、日本は技術の割合が高く、付加価値のある製品分野ではまだまだ優勢だ。これが中国側が長期にわたり対日貿易赤字に陥っている構造的原因だ。中日貿易格差の是正の最善かつ現実的な方法は、日本が中国製品の輸入を増やすことだ。中国製品、特に中級、高級製品を大量に日本市場に輸入することで、日本の内需拡大を促すことができるだろう。
貿易、投資分野の問題以外に、解決しなければならない課題がある。日本が今に至ってもなお中国を完全な市場経済と認めていない問題だ。しかも、現在の日本のビジネス環境は中国企業の対日投資に不利なものだ。青書はこう提案する。日本は効果的な措置を採用し、ビジネス活動によい環境を提供するため、中国企業のビザ取得の複雑さ、税務検査の煩雑さなどの問題を解決する必要が確かにあると。
また、さしあたり中日間にさらに密接な経済貿易関係を構築するのは、目下の二国間貿易、投資減少の課題を解決するために重要だといえる。さまざまな政策や手段で二国間の輸出入を拡大することによって、両国の対米輸出の減少による損失を減らすだけでなく、中日貿易の長期的な高位変動という状況を打破できるだろうし、中日それぞれの内需拡大も可能になるだろう。
すなわち、ポスト金融危機時代に中日経済関係には挑戦とチャンスが共存するが、チャンスは挑戦よりも大きいといえる。危機でもたらされた困難はまさに今、克服されようとしている。世界経済の復活は中日経済協力体制に新たなチャンスを与えるだろう。釣魚島漁船衝突事故をきっかけとする二国間の緊迫した関係や日本の今後のTPP加入是非に、震災の影響も加わり、中日経済関係には一定の予想外の変化はありうるだろう。しかし、両国は相互に最重要の貿易パートナーと投資相手であると認識しており、経済相互依存関係にあることから、中日経済パートナーシップの基本方針は変わりえない。2011年には、中日経済協力体制は安定した成長を維持し続けていることだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年6月1日
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