地震は日本経済の回復軌道を変えるか?
昨年、日本経済の実質GDP成長率は3.9%増となり、過去20年で最も高い成長率をみせた。しかし、この経済成長は第1四半期がけん引したものであり、残りの3四半期は低迷、第4四半期のGDPに至っては第三四半期より0.3%減少した。エコノミストは、今年の第1四半期に日本経済は再び回復傾向に向かうと予測していた。
しかし、多くのアナリストが指摘するように、大地震がこの流れを変えてしまいそうだ。日本国内では多くの工場が操業停止となり、電力も不足している。また、地震は消費者の心理も影響をおよぼしているため、日本経済には大きな損害出るとみられる。日本の問題に詳しいドイツ商業銀行の専門家は「日本経済は今年第1四半期、わずかな衰退を見せるだろう」と述べた。スタンダードチャータード銀行のチーフエコノミスト、ジェラード・ライオンズ氏も、日本経済は一時的に回復が鈍化するとした。
しかし、復興作業が進めば、日本経済はV字回復を見せる可能性がある。1995年の阪神大震災後、日本経済はV字回復を見せている。野村証券ニューヨークのチーフエコノミスト、デイビッド・レスラー氏は「政府、保険、民間企業、個人などから資金が復興作業に投入されることにより、雇用が生まれ、地震で被害を受けたエネルギー業界、建築業界にとって大きな助けとなる」と述べた。あるアナリストによると、今後3四半期において、日本の経済成長率は3%まで回復するという。
日本は世界の産業チェーンの中で重要な地位を占めている。地震がもたらした一時的な輸出停止は他の国の企業に影響を与えている。例えば、日本のチップ業界は世界市場の5分の1を占めているし、アップル社の「ipad」などの電子製品には日本メーカーが製造するNAND型フラッシュメモリが不可欠である。また、ボーイング社の「ボーイング787ドリームライナー」の翼や重要な部品は日本メーカーが提供している。
しかし、アメリカの大手諮問会社は、日本の大地震が世界に与える影響は一時的なものだとし、ムーディーズは、日本の復興作業は世界の貿易にプラスの影響をもたらすとした。
地震は日本政府の債務危機を悪化させるか?
現在、日本の債務は対GDP比200%となっており、先進国の中で債務水準が最も高い。今回の大地震により、日本政府は追加予算を迫られるため、日本の財政状況が悪化することは間違いない。
大手格付け会社S&Pは1月、日本の国債格付けを引き下げた。また、ムーディーズも日本の国債格付けを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げている。アナリストは、大地震が日本の債務リスクを悪化させ、日本の融資コストが上昇するのではないかと懸念している。
|