本誌日本語専門家 勝又あや子
青く澄み渡る空、穏やかな冬の訪れを感じる11月13日の後海。カメラを持つ高校生たちの元気な笑い声が響く。「あの団子みたいな赤いの何?」「北京名物の糖葫蘆(タンフールー。サンザシ飴のこと)!一緒に食べようよ!」そんなやり取りをするのは日本と中国の高校生たちだ。
11月12日から15日までの3日間、北京で日中高校生国際文化交流事業が行われた。今回日本から北京を訪れたのは、日本の各高校から選抜された写真部所属の高校生20人。中国からは人民大学付属高校の写真サークル「scenic光影社」に所属する学生20人が参加した。この交流事業は今年で4年目になるが、その主旨は、日本と東アジアの諸国が今後の文化・芸術活動を担う世代において、国際的に活躍できる人材育成を図るとともに、それぞれ自国の文化・芸術水準の向上や外国との相互理解を深めることにある。
交流活動は、日中の学生8人からなるA~Eの5グループにわかれて行われた。街を散策しながら写真を撮影し、グループごとに「組み写真」を共同制作。また、個人のベストワン作品の制作も行い、最後に作品の発表と人気投票を行った。
13日は街を散策しながらの写真撮影。今回の散策コースである景山公園、後海、南鑼鼓巷は、北京の昔と今を感じさせる観光名所だ。そんな新旧が入り乱れる街並みをファインダーに収めていく。「北京は何もかもが日本と違ってすごくおもしろい。太陽の日差しまで違うんです」。そう語ってくれたのは、沖縄県立南部工業高等学校2年生の前城勇希さんだ。中国に初めて来た学生たちにとって、出会うもの、触れるもの、すべてがとても新鮮に映ったようだ。では、中国の学生たちはどうなのだろうか?「僕はずっと北京で暮らしているのですが、外国人から見た北京って捉える視線が全然違っていて、すごくおもしろかったです。大いに刺激を受けました」。そう嬉しそうに語ってくれたのは、人民大学付属高校1年生の孟繁朝君だ。
コミュニケーションは主に通訳を介して。各グループに1人ずつ通訳がついた。しかし、通訳に頼らずに、英語や筆談、身振り手振りを使って積極的に話す生徒たちの姿が目立った。「もちろん不便さを感じることもあるけど、写真を通してわかりあえることがたくさんあります。言葉はさほど重要ではありません」。そう語ってくれる生徒が多かった。
「おっと!」絶好のシャッターチャンスにカメラマンたちは大喜び
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