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友好交流資料  
  第1回日中ハイレベル経済対話 ―プレス・コミュニケ

 I. 総論

1.2007年12月1日、北京において、第1回日中ハイレベル対話が開催された。日本側は高村正彦外務大臣が議長となり、額賀福志郎財務大臣、甘利明経済産業大臣、若林正俊農林水産大臣、鴨下一郎環境大臣、大田弘子内閣府経済財政政策担当大臣が出席した。中国側は、曾培炎(そ・ばいえん)副総理が議長となり、 (よう・けつち)外交部長、馬凱(ま・がい)国家発展改革委員会主任、謝旭人(しゃ・きょくじん)財政部長、陳徳銘(ちん・とくめい)商務部副部長、孫政才(そん・せいさい)農業部長、周生賢(しゅう・せいけん)国家環境保護総局長、李長江(り・ちょうこう)国家質量監督検験検疫総局長等が参加した。12月2日、温家宝中国国務院総理は日本側参加閣僚と会見した。

2.双方の参加閣僚は、日中経済の相互依存の高まりと両国経済のアジア地域及び世界経済における重要性にかんがみ、日中双方のマクロ経済、貿易・投資上の問題、気候変動を含む環境とエネルギーの問題、地域及び国際社会の経済問題について、忌憚のない意見交換を行い、相互理解を増進した。

3.中国側は、日本政府による対中経済協力及び日中間の民間経済交流が、中国の経済発展に貢献したことを高く評価した。一方、日本側は、中国の経済発展が日本経済の発展にも資することを高く評価した。双方は日中経済が「ウィン・ウィン」の関係となっていることを確認した。

4.日中双方は、両国が国際社会においてますます大きな責任を負いつつある現状を踏まえ、今次ハイレベル経済対話を通じて日中経済関係を進展させ、日中の戦略的互恵関係を推進することにより、世界経済の持続的発展のために一層の貢献をしていくことで一致した。双方は、また、日中ハイレベル経済対話が、そのための有益なツールであることを確認し、その継続的実施で一致した。

5.双方は、次回の対話を、来年末までに東京で開催することで一致した。

II. 双方のマクロ経済にかかわる問題

双方は、日中経済の相互依存関係が深化し続け、互いになくてはならない存在となっている現状を認識し、以下のとおり、双方のマクロ経済政策に係る議論を行った。

1.双方は、両国経済が世界経済に及ぼす影響の大きさにかんがみ、世界経済に対して、責任ある経済政策運営を行うことを確認した。

2.中国側は、過剰流動性によってもたらされた日本のバブル経済等の経験及び教訓が参考に値すると認識した。日本側は、人民元レートの柔軟性を向上させるとの中国側の方針を歓迎する一方で、人民元の実効為替レートのより速いペースでの増価を許容することに向けた中国の努力を期待する旨表明した。

3.中国側は、国内消費・投資・輸出の三者のバランスのとれた発展を促進する必要があることを強調し、そのための関連措置を紹介した。中国側は、この分野における日本の経験が有益であると認識した。双方は引き続き交流を強化していくべきとの点で一致した。

III. 気候変動・環境保護・エネルギー分野における協力

(気候変動)

1.双方は、地球温暖化防止のために、気候変動枠組条約の下で、全ての主要経済国がより責任ある形で参加する、実効的な2013年以降の枠組み構築に積極的に関与することで一致した。その関連で、日本側は、バリでのCOP会合で、新たな交渉の場を立ち上げることの重要性につき説明し、中国側は日本側の考えを検討する旨表明した。

2.双方は、クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ(APP)で取り組んでいる官民協力のセクター別アプローチの有効性を確認した。また、温暖化対策を実効的に進める上では、将来枠組みにおいても、セクター別アプローチの要素を組み込むことが重要との認識で一致した。

3.双方は、公害対策と温暖化対策の双方に資するコベネフィット・アプローチに係る取組を促進することで一致した。

(環境保護協力)

4.双方は、以下の事項で、これまでの取組を評価し、更なる協力を進めることで一致した。

· 循環経済実験区モデルの建設・拡大

· 長江流域等の重要水域の水質改善

· 大気汚染対策

· 廃棄物の違法越境移動防止

5.双方は、両国の高等教育機関における持続可能な開発のための教育・環境教育を推進していくことで一致した。

6.中国側は、日中友好環境保全センターを一層積極的に活用していく意向を表明し、日本側は、これに対しできる限り協力していく旨表明した。

7.双方は、森林・林業に関する政府間協力及び日中民間緑化協力委員会の着実な活動を評価するとともに、持続可能な森林経営の実施に取り組むことで一致した。

8.双方は、バイオマスの利活用の発展に向け、情報交換や技術交流に取り組むことで一致した。

(エネルギー)

9.双方は、「エネルギー分野における協力強化に関する日本国経済産業省と中華人民共和国国家発展改革委員会との間の共同声明」を踏まえての、共同声明に示された省エネルギー分野を始めとする具体的な協力事項が進展していることを確認するとともに、引き続き協力を促進していくことで一致した。

10.中国側は省エネを推進していく旨表明した。日本側は、法律の適切な執行を支援するため、引き続き受入研修を実施していく旨表明した。

11.日本側は、多国間の枠組みの下で合意された省エネ目標、行動計画策定等に資するような受入研修の実施を提案し、中国側は積極的な参加を表明した。双方は、このような取組が、環境・気候変動問題の解決にも資することで一致した。

12.双方は、「日中省エネルギー・環境ビジネス推進モデルプロジェクト」の成果を上げるための取組を促進していくことで一致した。

13.双方は、石炭のクリーンな利用技術、生産・保安技術に関する協力を引き続き促進していくことで一致した。同時に、日本側は、両国間の安定的な石炭貿易の重要性について強調した。

IV. 日中間の貿易・投資にかかわる問題

(知的財産権保護)

1.双方は、知的財産保護官民合同訪中団の継続的派遣及びこれに基づく協力を深化させていくことで一致した。

2.双方は、中国の主要な知的財産権関連法令を改正する過程で、日中の協力を促進することで一致した。

3.双方は、知財執行協力を強化するため、知財侵害関連情報の提供、中央行政機関の指導下における地方での知財交流と協力を推進する方策につき、引き続き協議していくことで一致した。

4.双方は、植物品種保護制度の強化と調和のため、東アジア植物品種保護フォーラムへ積極的に関与していくことを確認した。

5.双方は、知的財産権分野における人材育成の継続的な協力を行うことで一致した。

(貿易)

6.中国側は、日本ができる限り早期に中国の完全な市場経済地位を承認することを希望した。

7.中国側は、食品及び製品の安全を重視する旨表明した。双方は、食品及び製品の安全の分野で引き続き協力とキャパシティビルディングを進めていく旨表明した。

8.双方は、互いの関心品目、中国産のかぼちゃ、加熱加工偶蹄類肉製品の対日輸出、日本産米の対中輸出の貿易問題について、技術的協議により、2008年3月末までに検討し、解決することで一致した。また、中国産の生鮮家きん肉のOIEコードの制定後、検討し、解決する。また、今後、日中両国の農産物輸出の検疫技術交流と協力を更に強化し、円滑な貿易を実現することで一致した。

(ハイテク協力)

9.日中間の経済貿易協力を深化し、双方の技術協力と産品貿易の分野における深度を拡大し、双方は「日中技術貿易ガイドライン(指導方針)」を制定する。双方は、「日中技術貿易円滑化ワーキンググループ」を設立する。

(輸出管理)

10.輸出管理制度、エンドユーザーリストおよび法整備と執行等の関心事項の相互理解と協力の一層の深化のため、日中双方は意見交換を進めていく。

(中小企業協力)

11.双方は、共同で行った第4回中国国際中小企業博覧会を高く評価し、両国の中小企業協力を促進することで一致した。

(その他)

12.双方は、第三国援助にかかる日中対話実施の意義を確認し、今後とも対話を継続していくことで一致した。

13.双方は、農業協同組合、農業技術普及等の農業分野における協力を評価するとともに、その更なる推進に一致した。

14.日本側は、中国がエネルギー憲章条約に参加することの意義を指摘した。

15.双方は、「日中経済貿易協力に係る中長期ビジョン」を公表した。

16.双方は、「物流・流通報告書」の共同編纂を継続することで一致した。

V. 地域及び国際的な経済問題

(WTO)

1.双方は、東アジア首脳会議でも確認されたとおり、ラウンドの早期妥結に向けて協力することで一致した。

(東アジア地域経済協力)

2.双方は、東アジアFTA(EAFTA)、東アジア包括的経済連携協定(CEPEA)、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)を含む東アジア地域における経済一体化に向けた協力の更なる推進につき一致した。

(東アジア地域財政金融協力)

3.双方は、チェンマイイニシアチブのマルチ化やアジア債券市場育成イニシアチブ等、地域金融協力を一層強化する意図を表明した。

VI. その他

(不正な経済取引への対応)

1.双方は、資金洗浄、テロ資金、社会悪物品の密輸等の不正な経済取引によって国際金融・貿易システムが濫用されないようにしていくために、協力を推進していくことの意義を確認した。

(アフリカ開発)

2.双方は、アフリカ開発の重要性について認識が一致し、対話を継続していくこととした。その関連で、中国側は、来年日本で開催されるTICAD IVに団を派遣することを真剣に検討する旨表明した。

                        (2007年12月2日北京にて発表)

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