夫婦二人三脚でワイン作り
ワイナリーの仕事は、主に高源さんが経営全般を担当し、ティエリーさんは温度管理や衛生管理などワイン醸造全般の指揮を取る。1人娘の通学問題もあり、高源さんは普段銀川市内で娘と暮らし、ティエリーさんは賀蘭山山麓にある生産拠点で中国人の弟子とともにワイン造りに没頭する。一家が団らんできるのは週末だけだ。国際別居生活が耐えられずに中国に移住したティエリーさんだが、今でも平日は別居生活を送っている。

ワインの樽を器用に回転させながら運ぶティエリーさん
だがティエリーさんは銀川での生活を楽しんでいる。空気がきれいで、街もそれほど大きくなく、人々も素朴など、銀川とサンテステフはとてもよく似ているのだという。フランス語しか話せないティエリーさんだが、その陽気で茶目っ気たっぷりの人柄で現地の人にも人気だ。「よく一緒にバーベキューをします。時には庭にポールを立てて、ポールダンスの真似事をしたりもします。現地の人と一緒にダンスをしたり、おどけてモデルの歩き方を真似ることもあります」と高源さんは楽しげに話す。
夫婦関係も円満だ。ティエリーさんは家事もよく手伝うという。「床を拭くのもお皿を洗うのもとても丁寧。お皿は洗った後ピカピカに拭いてくれます。その後必ず私に見せて、私のOKをもらってからようやく棚にしまうんですよ」と高源さんは笑う。高源さんによると「喧嘩はしょっちゅうする」とのことだが、ワイン作りでぶつかることはない。2人の間に分業関係が出来上がっているからだ。「私もワイン醸造を学んだのでワイン作りに関わりますが、私は理論派で、彼の方は実践派。いわば相互補完の関係ですね」。高源さんは2人の関係をこう描写する。
2人が育てたワインを試飲させてもらった。ひんやりとした地下貯蔵庫に置かれた樽から、ティエリーさんが直接ワインを抜き取ってワイングラスに注いでくれる。紫がかったルビー色の液体に顔を近づけると、豊かな果実の香りが立ち上ってきた。タンニンはそれほど強くなく、まろやかな飲み口だ。生産年は2013年。これからまだ何年か、セラーで静かに熟成を待つ。
高源さんとティエリーさんが二人三脚で育てるワインは、いわば彼らの子供のようなものだ。これからも、シルバー・ハイツからさらに多くの子供たちが、母の故郷である中国の各地へ、そして父の故郷フランスをはじめとした世界各国へと羽ばたいていくことだろう。
「北京週報日本語版」2015年7月24日 |