米日間のもう一つの大きな意見の相違は経済分野にある。民主国家間による高レベルの自由貿易協定である「環太平洋戦略的経済連携協定」(TPP)はオバマ政権の「アジア太平洋リバランス」戦略の重要な支柱であり、計画によると2015年夏までに交渉を終える予定だ。そのうち米日間協定の進展には指標としての重要な意義がある。しかし目下のところ米日間は依然コメや自動車部品市場の開放問題について合意しておらず、安倍首相の4月の訪米中も米国側に対し態度を緩めなかった。実際のところ、安倍政権は日米経済連携協定(EPA)交渉をより重視している。つまるところ、EPA交渉のほうが政治的業績に直接の影響があり、米側も安倍首相の主な関心がTPPにないことを感じている。
日本が「米国の最も親密な同盟国」を自任しているのは、主にはやはり自国による安全保障の意識と対中戦略競争で勝ちたいという心理によるもので、長期的な意義はそれほどない。米国の対外戦略は現実主義と利益至上原則に終始則っており、日本への重視と信頼が中国との安定した関係構築の必要性をしのぐことはできない。少なくとも米国のアジア太平洋政策において、日本と中国は同等の重要性を持つ2つの中心であり、米日関係の行方は最終的に中米関係の行方にかかっている。中米関係という世界的意義を持つ二国間関係にとって、日本はせいぜい第三者でしかない。
また、「日本は英語圏の国ではなく、西洋との間に価値観や精神的な違いがあるため、その隙間は共通の民主制度でも徹底に埋めることはできない。ましてや日本の民主制度には自民党一党支配や長期政権化という変異が生じている。これではいつになっても本当の意味で米国の『最も親密な同盟国』になることはできない」という見方もある。
だが米国が最も深く考えなければならないのは、アジア太平洋戦略の安全保障構造に中国の台頭を中心とした新たな歴史的変化が生じ、同盟体系に頼って自身の利益を守るやり方が今後も功を奏すのか、ということだ。米国主導下の軍事同盟ですべての国をカバーすることはできない。小さな枠組み内の利益ですべての国の安全利益の上に君臨しようとしても、従わせることは難しいだろう。
「北京週報日本語版」2015年6月18日 |