中国の急速な台頭と朝鮮半島問題は米日の同盟関係強化を促す主要な要因であり、両国がそれぞれ必要な分を取り相互に利用していることは、誰の目にも明らかだ。米国は中国の台頭防止・抑制を重要な目的とする「アジア太平洋リバランス」を推進しているが、この任務を独力で支える力はなく、同盟国の力を動員する必要に迫られているため、アジア太平洋で韓国、東南アジア、オーストラリアないしインドを含む小規模の多国間安保協力ネットワークを構築することに腐心している。
長期にわたって、米国は米日同盟をアジア太平洋戦略の「礎石」と見なしてきた。米国が21世紀を「米国の太平洋世紀」にすると決めたことで、日本を中心とするアジア同盟圏に対する信頼度と重視度は必然的に高まった。
いわゆる「積極的平和主義」を実行する安倍首相は、「強い日本を取り戻す」という個人的な望みの実現を目指し、自民党長期政権と日本社会の保守化という局面を利用して、戦後平和憲法の改正を急ぎ、日本の発展モデルと対外戦略を再構築することで、日本を完全に独立した軍事力を持つ正常な国にしようとしている。安倍政権としても米国との関係において自国の利益を胸算用している。軍事、政治、戦略上で米国の力を借りて事をなし、「対米重視と中国抑制」という私利を満たすことに重きを置いているのだ。
米日防衛ガイドライン改定とセットになっているのは、戦後日本の防衛政策の重大な変化である。米日防衛協力ガイドラインの1997年の改定が日本の「専守防衛」原則を有名無実化し、戦後終始内向きだった日本の安保政策が初めてその視線を海外に向けたことを意味していたと言うのであれば、2015年の改定と同時進行している日本の集団的自衛権行使容認のプロセスは、日本が特定状況下で「自衛」手段を取り対外的に武力を行使することを認めたことになり、日本の軍事力に対する戦後の束縛がいっそう緩んだといえよう。
だが、米日の軍事安全保障上の相互依存で両国の「すきまのない親密さ」を十分に証明することはできない。事実、米日は多くの問題で意見の相違が拡大する傾向にあり、不信感もまだ存在している。世界的に貢献するという安倍政権の政策を米側は内部で「大風呂敷を広げている」と評価し、日本の当面の急務は自国の軍事力強化だと考えている。米国は日本が集団的自衛権行使を容認して米国の海外軍事行動に協力することを支持してはいるが、第2次世界大戦の歴史を否定する安倍内閣の政治傾向には不満を抱いており、安倍首相が靖国神社参拝にこだわったことに「失望」を示した。歴史に対して感情的なしこりがあるためと、米日韓三国間の同盟協力を取り持つ必要性もあって、米国は日本に歴史問題を適切に処理し、韓国・中国との緊張した関係を緩和し、しかも隣国の領土紛争において絶対に「先にしかける」ことは避けるよう求めている。
4月8日、カーター米国防長官は訪日中、中国の南中国海における岩礁拡張行為を中止させるため、日本にも南中国海地域の警戒任務を担ってほしいという要望を示した。日本側はこれに対し苦慮している。一つには、日本の海上自衛隊のパトロール機に東中国海と南中国海でも同じだけの監視を行う航続能力がなく、警戒の重点を日本近海に置かざるを得ないからである。その一方で、日本は南中国海問題に直接介入することで中国との関係が再び悪化することも懸念している。
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