この主張は深く両岸の民心を得たといっていいだろう。1945年の抗日戦争勝利後、中国は内戦に陥り、その結果毛沢東率いる共産党軍が蒋介石を首領とする国民党軍を破り、中国台湾省に後退させた。1949年の中華人民共和国成立後、大陸と台湾はずっと対峙状態にあった。2000年に台湾民進党が政権を握って「台湾独立」論を打ち出すと、両岸関係はよりいっそう緊張し、一触即発の事態にまで発展した。対峙が両岸の人々にもたらしたのは災難と苦しみであり、それぞれの発展と互恵にとって明らかに不利であったため、大衆の支持は得られなかった。こうしたことを背景に、2005年、当時の胡錦濤中国共産党中央総書記は北京で連戦国民党主席(当時)と会談し、1949年以来初めての国共指導者会談が実現した。2008年に国民党が再び台湾の政権を握ったことは、両岸の平和的発展を渇望しているという台湾の人々の態度をよりいっそう示すものだった。
三つめは、目下野党である台湾民進党に両岸の平和的発展という現実を正視 するよう戒めたことだ。「台湾独立」に傾く民進党は、両岸の平和的発展においてずっと障害となってきた。大陸と台湾当局が現在交渉中の『海峡両岸サービス貿易協定』は両地の経済貿易に恩恵が及ぶ協力枠組みであるにもかかわらず、民進党の反対により台湾では遅々として可決することができずにいる。2016年に台湾地区では総統選挙が行われるが、どの政党が勝っても、一つの中国と両岸の平和的発展を守るという基本原則に背くことはできない。習近平総書記は、「『92年コンセンサス』を否定し、両岸が一つの中国に属するという法律原理基礎に挑みかかり、中国を分裂に向かわせることは、民族、国家、人民の根本的利益を損ない、両岸関係発展の礎を揺るがす。そうなれば平和も発展もあり得ない」と明確に指摘した。
四つめは、域外勢力に対し、大陸と台湾の件は中国の国内事情であり、いかなる者、いかなる国も両岸関係を損なうことを企図してはならないと戒めたことである。習近平総書記は国共両党に対し、「旗印を鮮明にして両岸関係の政治基盤を損なうすべての言行に反対し、容易ならざる台湾海峡の平和的関係と両岸の平和的発展という成果を失うようなことがあっては決してならない」と呼びかけた。
現在、中国大陸と台湾の関係は新しい重要な節目にさしかかっている。両岸関係はどのように歩んでいくべきかという問題は、中華民族の未来と両岸の無数の民衆の幸福にかかわっている。今回の「習・朱会談」が両岸関係の未来に希望をもたらすことを期待したい。
「北京週報日本語版」2015年5月8日 |