時永明(中国国際問題研究院副研究員)
今年は第2次世界大戦終結70周年に当たり、当時の主要反ファシズム諸国はいずれも盛大な記念式典の開催を予定している。記念の意義は、今後人類社会が発展していく中でどうしたら前車の轍を踏まずにすむかを考えることだ。この一年は、当時歴史上体裁の悪い役柄を演じた日本にとっても、おのずと重要である。日本の安倍晋三首相は就任後、これまで日本の指導者が歴史問題について発表した「談話」を修正し、自分の談話を発表するとの意向をしばしば示してきたため、インドネシア・バンドンで開かれたアジア・アフリカ首脳会議での演説で、歴史問題についていったいどのような立場を取るのかについて、国際社会全体が注目していた。
しかし、安倍首相はバンドンで、日本の侵略の歴史に対し当たり障りなく「反省」と述べたにとどまり、アジアの被害国に対しては謝罪の意思をいささかも示さなかった。安倍首相が歴史問題で言葉を濁し、あいまいな態度を取ったことは、安倍首相が内心と現実の衝突をなくすためにまだ活路を見いだせていないことを示している。
一、安倍首相の二枚舌戦略
日本の侵略の歴史に対して反省だけして謝罪しないという安倍首相の言論は、歴史責任から逃れようとする行為であるだけでなく、歴史問題で国内と国外を分ける二枚舌戦略を取ろうとしていることも反映している。安倍首相はまず、歴史問題を国際社会に対し態度を説明し続ける必要のない事にした。そして次に、歴史修正主義を国際社会とは全く関係のない事にしてしまったのだ。
国内では、安倍首相は傍若無人に歴史修正主義を進めている。バンドンでの演説に先立って、安倍首相は第2次世界大戦A級戦犯を祭る靖国神社に「内閣総理大臣 安倍晋三」の名義で「真榊」と呼ばれる供物を自費で献上している。安倍首相が習主席と会談した後、安倍内閣の閣僚3名が靖国神社を参拝した。安倍首相が自らの歴史についての心情を述べる時、最も重視しているのは日本社会、特に青少年への影響だ。4月初め、日本の文部科学省は来年度採用予定の中学・高校教科書を発表した。新教科書は安倍政権の意図に完全に従っており、日本のいうところの「自虐史観」修正と青少年の「愛国心」育成を目標とし、侵略の歴史を公然と改ざんし、現行教科書における南京大虐殺の内容を削除し、血なまぐさい虐殺を単なる民衆に波及した一般的な事件として記述した。安倍首相は日本の侵略の歴史に対する国際社会の公論を否定することで、日本を歴史の罪悪感から解放しようとしているのだ。
一方国際的には、安倍首相は公の場で公然と国際社会に挑めないことを知っているため、歴史問題で重要なことを避けて関係のないことを話し、方向を転じる策に出ている。安倍首相は「前の人がすでに言ったことを繰り返さない」という形で村山談話に対する反発を伝えている。同時に、できるだけ歴史を避け、宣伝の重点をいわゆる戦後日本の平和的なイメージに置き、戦後70年間日本が戦争に加わらなかったことを自らの侵略の歴史修正の隠れ蓑にしようとした。まるでこの70年があるから、日本は以前も悪かったわけではなく、今後もっとよくなることが立証できるかのように。こうしたすり替えや、あれこれと無関係なことを言って本題を言わない手法で国際社会を攪乱するのは、歴史観修正を進める本当の目的を覆い隠すためなのである。
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