アジアインフラ投資銀行設立の初志は、新しい開放的な協力枠組みの下で、協力条件やハードルを設けず、どの第三者も排除したり敵対対象にしたりせず、アジアとその他経済ブロックに向けて開放し、アジアインフラ投資銀行の目的と使命、メンバー構成、株式配分、組織構造、管理枠組みなどは既存の国際多国間開発銀行の規範と基準を順守し、寛容かつ開放的で透明な新しい世界金融機関を作り上げることを目指して、相互連結性とクロスボーダー融資の推進、持続可能な発展レベルなどの面で大きな役割を果たす、というものだ。米国の懸念は余計なことなのである。
しかもアジアインフラ投資銀行規約など各規則制度は創設メンバー国が検討している最中で、まだ打ち出されておらず、基準と不透明性を口実にして「臆断」するのは、合理的で慎重な態度とはいえない。
米国がアジアインフラ投資銀行に反対する最大の理由は、その意識によるものだ。米国の多くの政府関係者は、アジアインフラ投資銀行に参加すべきか否かで気をもんでいる。米国が参加しなかった場合、今のところの情勢から見て、明らかに新興の国際金融パワーによって孤立させられ、しかも「世界のボス」としての度量が狭く見えてしまう。しかし参加となると、米国のアジアインフラ投資銀行における影響力を強めることはできるが、気持ち的に収まりがつかない。「体面が下がる」という思いが妨げになっているのだ。
一部の米国政府関係者や米国メディアには、政治的な必要性からか別の理由からか、中国の台頭は米国にとって脅威であり、中米両国の世界での利益衝突激化は避けがたい、とする世論がずっと存在する。こうした意識の下で、彼らは「アジアインフラ投資銀行」設立は中国が米国主導の国際金融秩序の破壊を加速するもので、米国の世界戦略利益に対する脅威だと考えている。最近のアジアインフラ投資銀行に対するいわれのない非難は、こうした政府関係者やメディアから出ているものだ。これに反して、米国の多くの金融界関係者はアジアインフラ投資銀行に対して客観的かつ積極的な理性を示しており、将来アジアインフラ投資銀行と協力したいとの意向を次々に示している。
米国の一部政府関係者とメディアが持っているこうした意識は、「狭隘なアメリカ主義」と見なすことができ、グローバリゼーション時代の寛容と協力を必要とする情勢とはまったく相容れない。そしてこうした意識は、米国の経済社会発展にとっても大敵になるだろう。
実際のところ、米国はかつて「G2」を提唱していた。したがって、アジアインフラ投資銀行の問題で、中国と米国は協力パートナーになれるに違いないのである。
「北京週報日本語版」2015年3月27日 |