本誌評論員　蘭辛珍 

昨年中国経済の「新常態」（ニューノーマル）という言葉が中国経済界で流行した後、経済新常態とは何なのか、どの程度の経済成長であれば経済新常態の基準に合うのかという問題が業界の関心を集めてきた。今年の両会で李克強総理が行った「政府活動報告」はこの問題に対して具体的な答えを示した。報告が示した７％前後という数字が新常態下の成長率となった。しかも今年の成長目標であるだけでなく、経済政策一貫性の見地からして、今後数年の成長目標となる可能性が高い。 

この成長率は合理的なのか？答えはイエスだ。７％前後の経済成長目標は、中国政府が雇用や「小康社会」（ややゆとりのある社会）の全面的達成、構造グレードアップなどを含む経済発展の必要性を考慮した上で確定したもので、合理的な決定である。 

中国経済は３０数年の高度成長を経て、現在ではすでに世界第二の経済体となった。今後中国経済の重点は成長率と規模ではなく、経済成長構造調整と経済成長の質の向上に置かれる。今年の経済情勢を検討する際、経済学者らは今年の経済成長目標を引き下げ、これまでの高すぎる経済成長がもたらした問題を改善するのが望ましい、との提案を行った。しかし成長率を引き下げすぎてもいけない。低すぎる経済成長率は一連の派生問題を誘発し、構造調整、雇用保障、民生改善、社会安定に影響を及ぼし、しかも成長率が急激に低下、ひいては失速することにでもなれば、政府公共支出の減少、社会失業率の急増、住民所得成長率の急落を招き、社会の受容度を超えてしまうだろう。経済の安定的発展のためにも、成長率を一定の範囲内に保つ必要がある。推計によると、経済成長率が７％前後に達していれば、中国は国内雇用のニーズを満たし、経済の安定と健全さを保証することができ、しかも次なる改革深化と構造調整にとってもよりよい条件を整えることができる。それゆえ、中国政府は比較的合理的な成長目標として７％前後という数字を示したのである。