裁判官を精鋭化する裁判官選抜制度
裁判官選抜制度の実施は、謝商華委員が指摘した問題を解決する方法の一つである。今年2月26日、最高人民法院が発表した「人民法院改革の全面的深化に関する意見」は、上級裁判所の裁判官を原則的に下級の裁判所から選出するメカニズムの確立を打ち出した。優秀な弁護士、法律学者及び立法、検察、法執行部門に勤務するプロの法律人材を選抜して裁判官に任用する制度を整備するものだ。
「裁判官のプロ化の基礎と重点は厳しい裁判官の選抜制度の確立である。独立して事件を審理する能力があり、敢然として責任を負う裁判官を数多く採用することを通じて、一部の地方で見られる裁判官が審判職責に最善を尽くさない状况を改善できる」。全国政協委員、中国政法大学法学院の曹義孫教授は本誌記者にこう語った。
これに対し、弁護士である施傑委員は賛成の意を示し、次のように述べた。現在の裁判官はほとんどが大学を卒業後に公務員試験や司法試験などの試験に合格して裁判所に入職する。かなりの理論的知識を身につけているが、事件審理の実践面ではやや経験不足である。「離婚訴訟を審理する裁判官の中には、自分が恋愛した経験もない人もいるだろう。このような社会経験と審理経験が欠けている裁判官が下した判決は、往々にして当事者を納得させることができない」。
施傑委員はさらに次のように語った。「裁判官が事件に対し公正で独立した判断を下すには、公正で、仕事の能力が強く、社会的経験が豊かであるなどの基本的資質が必要になる。優秀な弁護士、法学関係者から裁判官を選抜することは司法法則に符合している。長年仕事に従事した経験を持つ弁護士は法律面の専門的知識を持っているだけでなく、豊かな社会経験がある。業務を行う上で法律違反・規律違反行為があったか、クライアントからのクレームはなかったか、評判がよいかなどの評価・記録を通じて、裁判官を担当する基本的資質があるかどうかを正しく判断することが可能だ」。
これについて謝商華委員は次のように話す。「とくに上級裁判所の裁判官であれば、より難しく、複雑な事件に向き合わなければならないだけでなく、厄介な新しいタイプの事件も処理し、それによって下級裁判所を指導しなければならない。そのためには裁判官の司法レベル、司法能力、司法素養に対する要求はさらに高くなる。したがって、裁判官選抜制度を通じて、学歴が高いだけでなく、審判能力が高く、審判経験が豊かな裁判官を増やすことは、目前に迫った急務になっている」。
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