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司法改革の処方箋「裁判官の上にあるのは法のみ」
                                     本誌記者 徐蓓 

「われわれは誤審冤罪の発生に深く自責の念を抱いている。各クラスの裁判所に教訓を深く汲み取るよう要求し、誤審冤罪の効果的な防止・適時是正メカニズムを整備していく」。3月12日、周強最高人民法院(最高裁)院長は人民大会堂で最高人民法院活動報告を行った際こう述べた。2014年、中国各クラス裁判所は審判監督手順に基づき刑事事件1317件を再審して判決を是正し、そのうち、念斌事件、呼格吉勒図(hugjiltu)事件など多くの重大な誤審冤罪の判決を是正した。司法機関が自らの間違いを是正したことが高く評価されたとともに、司法の社会的信頼性向上に対する中国社会の注目と期待はかつてないほどに高まっている。司法の公正性実現において「裁判官」が果たすべき役割をいかに果たさせるかという話題をめぐって、社会科学界の全国政協委員はそれぞれの「処方箋」を出している。 

審理者に裁かせ、裁いた者が責任を負う 

「国民大衆がどの司法事件からも公平さと正義を感じられるようにする」ことは新たな司法体制改革の目標である。この目標を実現する重要なルートは間違いなく「審理者に裁かせ、裁いた者が責任を負う」という司法の基本法則に立ち返ることである。 

  「法廷で審理を行い、公訴側と弁護側に証拠をめぐって論議させて初めて、裁判官が全過程において双方の意見を聴取した上で判断を下すことができる」。全国政協委員、四川鼎立弁護士事務所チーフパートナーの施傑氏は、事件審理における裁判官の役目についてこう評価した。施傑氏の見方によると、裁判官は「審判を中心とする訴訟制度の改革推進」におけるキーパーソンであるが、中国の「審判委員会制度」(人民法院内部が審判に対し集団指導を実行する組織の形式。各クラス人民法院は審判委員会を設立し、民主集中制を実行する。主要な任務は審判経験を総括し、重要事件または判断が難しい事件とその他審判関連問題の検討)に存在する問題が事件審理において裁判官が果たすべき役割に対してある程度影響しているという。 

 施傑氏の話によると、まず、審判委員会は担当裁判官の口頭または書面報告に基づき判断を下す場合もあるため、その決議は往々にして行政的な色合いが強く、直接審判と審判公開の原則に背く嫌いがある。次に、「重大で、判断が難しい、複雑な」事件を定義する基準範囲が広すぎるため、審判委員会の検討に回す事件に一定の恣意性がある。第三は、審判委員会の集団で検討し集団で責任を負うという特徴により、事件を審理する際に矛盾を上級に推しつける裁判官も現れ、審判委員会の集団的決議を「楯」にして責任逃れをするやり方も生まれる可能性がある。 

 2014年の両会(全人代と全国政協)において、施傑政協委員はこの問題について提案を出し、最高人民法院から返答を得た。これについて施傑氏は次のように語った。「返答から見て取れるように、最高人民法院は審判委員会制度の改革を非常に重視し、一連の改革措置を計画している。例えば、スクリーニング制度を設け、審判委員会に提出する必要のある「重大で、判断が難しい、複雑な」事件に対して厳しく定義する。また、審判委員会の事件検討範囲を法律審(判明した事実に基づき、法律の適用が正しいかどうかについてのみ審査を行い、審理範囲が実際の事件内容に及ばないことを指す)に限定する、といった内容だ」。 

 施傑氏の見方では、現在、審判委員会制度は大きく変革された。「しかし個人的には、審判権の利用や濫用をさらに防止するには、真に審判権を裁判官に戻すほかはないと思う。そうして初めて『審理者に裁かせ、裁いた者が責任を負う』という最も基本的な司法原則を実現できる」。 

 しかし、全国政協委員、四川省高級人民法院副院長の謝商華氏は懸念を示す。「現在、裁判官の資質がまちまちで、全体的な業務能力は改革の要求とかけ離れている。こうした状況のもとで完全に権限を下部に委譲すれば、事件審理の質低下、ひいては社会の安定問題をもたらす可能性がある。このほか、『裁いた者が責任を負う』ことを実行するには、社会の認知と制度保障も同時に進めることが必要となる」。 

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