本誌評論員 蘭辛珍
「小康社会」(ややゆとりのある社会)全面実現の目標達成期限まであと6年となった。これについて、全国政協委員、国務院貧困扶助開発指導小組の範小建元副組長は次のような考えを示している。「小康社会」を実現できるかどうかは農民によって決まる。特に貧困農民だ。経済発展が「新常態」(ニューノーマル)に入った今、貧困扶助はどうあるべきか。これは各クラス政府関係者たちが重点的に考えるべき問題である。
范小建氏
範小建氏の話では、現在中国のGDP成長が減速しており、今後の年平均GDP成長率は7%前後になるだろう。それに加えて、ジニ係数が1994年の0.37から2013年には0.47になり、住民所得格差はさらに拡大しているため、貧困削減がもっと難しくなっている。財政収入の伸びが鈍化したため、ここ2年の貧困扶助投入の伸び幅は明らかに低下している。2011~2013年、財政の総合貧困扶助投入の伸び幅はそれぞれ41%、32%、24%であり、特定プロジェクト貧困扶助投入の伸び幅は2012年の22.8%から2014年の9.78%に低下した。これらの状況を総合的に分析すると、われわれは困難を乗り越え、「新常態」を前にして、新しい措置を打ち出すよう努めなければならない。
範小建氏は次のように提案している。中央政府は発展格差の縮小、ジニ係数の低下を重要目標とし、貧困扶助開発を「十三・五(第13次5カ年計画、2016~2020年)」に組み入れ、各部門の「十三・五」計画は国務院の認可による広域特別貧困地区の貧困扶助計画と連動させ、支援を強化すべきである。それと同時に、マクロ政策面で継続的投入増加を重点的に考慮しなければならない。特に特別困難地区のインフラ、教育、医療・衛生など基本公共サービス面への投入である。沿海産業の内陸部移転というチャンスをつかみ、中西部県域経済と中小企業の発展支援を引き続き強化する。このほか、農村の生活保障(養老を含む)には細部にわたった配慮と配置を行う。最困難地区、最困難社会層、最も差し迫って解決を必要とする問題を終始重視し、あくまで「雪中に炭を送る」(困っている人に援助の手を差し伸べる)ことを貫き、「錦上に花を添える」(富貴の人に媚びる)ことはしない。
「北京週報日本語版」2015年3月19日 |