本誌記者 徐 蓓
中国の法整備は従来から「両会」(全国人民代表大会と全国政治協商会議)で注目され、特に今年の両会で関心を集めている。両会の開幕まで 1週間を切った頃、最高人民法院(最高裁)は「人民法院(裁判所)改革の全面的深化に関する最高人民法院の意見」を発表し、社会の広い関心を集めた。そのうち、現在進行中の司法改革は中国の刑事事件弁護士にとってどんな変化をもたらしているのか。この問題について、全国政協委員・中国政法大学法律学教授の曹義孫氏は本誌記者のインタビューを受けた。
全国政協委員・中国政法大学法律学教授の曹義孫氏
曹委員は、冤罪・でっち上げ・誤審事件発生防止の問題では、弁護士の役割を積極的に発揮し、当事者の利益を保護するべきだとの考えを示し、「弁護士はプロの視点から質問し、控訴側と弁護側の双方に証拠を示す機会を与え、双方の力のバランスを取り、そうすることで合理的な訴訟構造を構築しなければならない。こうした構造は冤罪・でっち上げ・誤審事件発生の防止に役立つ」と話す。
弁護士は自身の専門知識背景をもって司法活動で極めて重要な役割を果たし、当事者の権利と正当な利益を守ることを職業とする者である。その社会的地位は、まさに一国の法制化プロセスを示している。しかし、これまで刑事事件弁護士の弁護業務遂行が困難で、尊重されない現象がよく発生したため、多くの弁護士は刑事事件を担当したがらなくなっていた。
そのため、昨年発表された「法による国家統治の全面的推進における若干の重大問題に関する中共中央の決定」は、「多くの優れた弁護士人材をつくり上げる」ことを提起した。「両高(最高人民法院と最高人民検察院)」が最近発表・改正した司法改革に関する意見の中でも弁護士について何度も言及し、代理人としての弁護士の弁護意見の重視、裁判官・検察官と弁護士の関係の規範化、弁護士に対する差別的な安全検査の禁止、優れた弁護士が裁判官・検察官の選抜に参加できる制度の確立、弁護士の保障の仕組み整備などが盛り込まれている。これらは中央が弁護士の法による業務実施を尊重するという強いシグナルを発しており、法による国家統治の全面的かつ徹底的な実行にとって非常に大きな意義をもっている。
これは間違いなく中国が法による国家統治の全面的推進において踏み出した大きな一歩である。この後は、「両高」の意見に提起された諸改革措置を一つ一つ実行に移すことが次なる司法改革取り組みの重点となる。「実施過程では、多くの内容が司法解釈を必要とする。漸進的な過程であり、時間が必要だ。とは言え、今後、刑事事件弁護士が役割を果たす場がより広くなることは予想できる」と曹委員は話す。
「北京週報日本語版」2015年3月13日 |