どんな資金がA株上昇を促進したのか。「滬股通」(香港投資家による上海株売買を可能にする措置)によって正常に流入してきた海外資金だと言う人がいるが、事実はそうではない。今回のA株急騰で、「滬股通」を通じて流入した資金は刺激の役割を果たしただけで、A株を急騰させた真の主要な原動力は信用取引の資金である。
上海総合指数がここ5年で最も大きい上げ幅を記録した2014年12月4日を例にしてみると、当日の上海総合指数は4.32%上昇し、取引総額は5092億元だった。この日、信用取引による買付は1000億元余りに達したが、「滬股通」を通じた買付は36億元のみだった。「滬股通」の1日当たり投資限度額は130億元であり、つまり「滬股通」の投資限度額にはまだ94億元の余裕があった。
他の取引日も大体似たようなものである。「滬股通」によってA株市場に流入した資金が非常に限られたものだったのに対して、「港股通」(大陸投資家による香港株の売買を可能にする措置)を通じて香港株式市場に流入した資金のほうは絶えず増えている。「港股通」のスタートによって、「『港股通』は人気なのに『滬股通』は低迷」という現象が現れている。
では、改めて信用取引資金を見てみた時に、A株急上昇を後押ししたこれらの資金はどこから集まってきたのか。
証監会発表の文書によれば、中国資本市場における証券信用取引業務は2008年6月1日に正式に始まり、投資家が最低でも50万元の金融資産を口座に保有することが信用取引実施のためのハードルとなっている。この政策が打ち出されてから、証券会社はこのルールを守り続け、中国の資本市場は上がったり下がったりを続けてきた。
「滬港通」のスタートによって、投資家は規制が多少緩和されたと感じ、証券会社も業績のために動き出した。利益に駆られて、証券会社は制度の規制を緩め、信用取引実施のハードルをひそかに10万元まで引き下げた。資金で頭を悩ませていた多くの個人投資家は「滬港通」の刺激を受けると同時に、イチかバチかの博打心にかられて信用取引に加わるようになった。安い株があればそれを買うというのは、投資経験に欠ける多くの投資家に共通する投資心理だ。こうした投資家たちが信用取引で株を大量に買ったため、クズ株が一気に急騰した。
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