本誌評論員　蘭辛珍

２０１４年中国映画市場の２９６億３９００万元という興行収入総額、そして昨年同期比３６．１５％という成長率は、国内の映画関係者を大いに興奮させただけでなく、世界の同業者をしきりに羨ましがらせた。 

経済発展により中国人の文化消費面の支出は絶えず増え続け、映画産業もそれにしたがって得難い成長期を迎え、中国の映画館とスクリーンの過去２年間の増加数は世界一に達し、国内映画製作本数も爆発的に増加した。中国映画市場の全体成長率はさらに驚くべきもので、２０１０年に１００億元にすぎなかった興行収入が２００億元になるのにわずか３年、昨年の数字になるまでわずか１年しかかからなかった。 

この急激に膨張する巨大なパイを前に、ハリウッドも中国俳優起用などの方法でその分け前にあずかろうとしている。 

しかし外国映画が中国に参入しようとしても容易ではなく、毎年約３０作しかない輸入映画配給枠によって、ほとんどの優秀な外国映画作品が国外に締め出されている。 

あるいは保護を受けているからこそ、中国映画産業はこれまでで最高の成長期を迎え、急速な拡張という繁栄を呈しているのかもしれない。 

しかし中国映画作品の質と影響力（国際的にも国内の観客にとっても）は、市場の繁栄にともなって質的な飛躍を成し遂げたというわけではない。優秀な国産映画はいまだ少なく、製作技術や管理、手法、技巧などの面で、中国映画と外国映画との間には少なからず隔たりがある。 

市場の規制は、こうした隔たりの主因の１つかもしれない。中国の映画市場をさらに自由化することは無理なのか？答えはノーであるはずだ。