孫さんは小学1年生の娘がいるが、最近2人目の子供をつくるかどうかを迷っている。娘に意見を聞いてみると、「お兄さんやお姉さんがほしい。弟か妹ならいらない」と真面目に答える。
夫婦の一方が一人っ子の場合第2子の出産が認められる「単独二孩」政策の実施から1年間で、第2子出産申請数は約100万件近くに上った。全国の条件を満たしている夫婦は計1100万組に達している。その大多数の夫婦は孫さんのようにためらい、迷っている。
取材を受けた専門家によると、現時点で「単独二孩」政策が冷遇を受け、申請数が予想を下回ると言うのはまだ早い。現実的な困難が出産適齢夫婦の出産願望実現を妨げている。
国家衛生・計画生育(出産)委員会は2013年、全国の都市・農村の住民を対象に出産願望について調査を行った。同調査によると、中国の20~44歳の既婚者が望む子供の数は平均1.93人で、子供2人が81.8%と大多数を占めており、そのうち広東、福建、江西など9省・自治区は2人以上だった。
出産願望が出産行為に変わる上で、家庭の収入、住宅、雇用、教育水準、健康状況などの要素が影響しているのは明らかである。
北京に住む張佳彦さん(35歳、サラリーマン)は迷った末に第2子の出産をあきらめた。「政策が出たばかりの頃は確かに興奮した。2人いれば子供が寂しくない。でも1人だけでもプレッシャーがかなり大きいのに、もう1人産むとなると気力と体力やお金に限りがある。私と妻は共働きで、普段は両親が子供の世話をしているので、これ以上苦労をさせたくない」と張佳彦さんは言う。
張さんの奥さんの理由はもっときっぱりしている。「子供が生まれてから1、2年は、夜よく起こされて一晩ぐっすり寝られない。第2子を産めば4、5年はぐっすり寝られなくなる。それを思うとぞっとして怖くなる」。
第2子を産む理由は似ているが、産まない家庭の理由はさまざまである。「体の条件が許さない」、「子供の世話をする人がいない」、「経済的条件は許さない」、「子供の受診難、入学難」、「第1子が弟や妹を受け入れない」、「夫婦関係に影響を与える」、「勤め先が奨励せず、女性のキャリアに影響を与える」などがそれである。
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