しかし、香港と澳門に「一国二制度」の下で違った状況が現れたことで、中央政府の香港と澳門に対する見方に違いが生じてきている。2014年12月20日の澳門祖国復帰15周年記念式典で、習近平主席は次のように澳門をほめたたえた。「『一国二制度』、『澳門人による澳門統治』、高度な自治という方針と澳門特別行政区基本法は澳門社会で幅広く人の心に入り込み、確実に貫徹・実行されてきた。憲法と基本法に定められた澳門特別行政区の憲法統治秩序は尊重・擁護を受け、中央の全面的管轄・統治権が効果的に行使され、特別行政区の享受する高度な自治権は十分に保障されている。澳門同胞は澳門の主人公となり、法によって広範な自由と民主的権利を享受している。澳門の民主政治制度は秩序立って発展し、経済は急成長し、住民の生活は改善されつつあり、社会の大局は調和かつ安定し、各方面の事業は全般的な進展をとげ、対外交流も絶えず拡大してきた」。
一方、2014年12月19日、習近平主席が香港特別行政区の梁振英行政長官との会見で述べたのは、「香港特別行政区の政治制度の発展は香港の実情に適わなければならず、『一国二制度』の方針と香港特別行政区基本法を順守しなければならない。特別行政区政府が引き続き法によって香港の政治制度発展問題を適切に処理することを望む」という内容だった。
「セントラル占拠」の撤去作業終了後、習近平主席が香港の情勢について公に態度を示したのはこれが初めてで、その意味するところは、香港の「一国二制度」と基本法の貫徹・実行はさらに推進する余地があるということだ。
どのように推進するのか?これについて、習近平主席は次のように指摘している。「一国二制度」の根本的な主旨をしっかりと把握し、国の主権・安全・発展の利益を共同で守り、香港・澳門の長期的繁栄・安定を保たなければならない。また、法による香港統治と法による澳門統治を堅持し、法によって「一国二制度」の実践を保障しなければならない。そして、「一国」原則の堅持と「二制度」の相違の尊重、中央権力の擁護と特別行政区の高度な自治権の保障、祖国大陸部の後ろ盾としての役割発揮と香港・澳門の競争力向上を結び付けなければならない。
習近平主席の「一国二制度」をいかに推進するかに関する指摘の意味するところを理解すると同時に、香港の執政者は香港には「植民地化」と「祖国認知」において深いレベルの矛盾が依然として存在していることを冷静に認識することが必要だ。こうした矛盾が長期的に解決しないとすれば、「一国二制度」の香港における真の実行に影響を与えるだろう。「脱植民地化」と「祖国認知」強化は、香港が今後取り組まねばならず、そしてしっかりとやり遂げなければならない課題である。
「一国二制度」という基本的国策の実行について、香港は澳門に学ぶべきだ。
「北京週報日本語版」2015年1月14日 |