張瑶華（中国国際問題研究所副研究員） 

 ２０１４年の中日関係を総括すると、多かれ少なかれ劇的な展開であった。年初、安倍首相が中国を念頭に置いた地政戦略外交を展開したため、中日関係は氷点まで冷え込んだ。その一方で、対中政策にまったく調整の兆しがないにもかかわらず、安倍首相は日中首脳会談実現を希望するとの意を示し、その真意に疑いの目が向けられた。しかし意外にも、１１月７日、日本の谷内正太郎国家安全保障局長と中国の楊潔篪国務委員が会談し、「４つの原則的共通認識」に達した。これを背景に、１１月１０日、習近平中国国家主席は人民大会堂で、ＡＰＥＣ非公式首脳会議出席のため訪中した日本の安倍晋三首相と会見した。会見で、安倍首相は、日本側は双方が達した「４つの原則的共通認識」の実行を新たな起点として、両国の戦略的互恵関係の改善と発展を推進していきたいとの意を表した。では、中日関係はこれを機に氷解し雪解けに向かうのだろうか？ 

安倍首相は本当に中日関係を改善したいのか？ 

この１年の中日関係を総括してみると、安倍政権の対中政策に疑問符をつけざるを得ない。それは、安倍首相のこれまでの言動と日本政府の答弁書及び日本政府官僚の「４つの原則的共通認識」に対する態度から、日本の対中政策にまだ少しも積極的なシグナルが見られないからである。「第１次安倍内閣」発足時、安倍晋三首相は中国を電撃訪問し、中日関係は小泉元首相の靖国神社参拝による暗雲から脱した。しかし２０１２年年末の首相再任以来、安倍首相のすることなすことは第１次内閣当時と大きく異なり、釣魚島や靖国神社といった問題で中国側がこらえられるギリギリの「ボトムライン」に挑みかかり、中日間の敏感な問題が集中的に噴出した。安倍首相は「日中関係は重要だ」と飽きもせずに言う一方で、中日関係の政治基盤をぶち壊し続け、「中国脅威論」をいささかも隠そうとせず吹聴し、中日関係「改善」の道を「周辺隣国との協力を強化し、中国の台頭を抑止する」という基盤の上に築こうとしている。