しかし、中国の製造業は規模が大きくても強くはない。コア技術、先端技術の多くは西側の先進国が握っている。価格以外では、国際市場での競争力に欠けている。特に世界金融危機以降、米国などが実体経済に回帰する情勢下で、中国製造業は世界的に競争力が低下している。それと同時に、人口ボーナスの消失に伴って、労働力の供給が減り、労働力コストが上昇し、新しい世代の労働力の製造業就業意欲が低下し、中国製造業の競争力は大きく制約されるようになっている。
いかに「中国製造(メイド・イン・チャイナ)」から「中国創造(クリエイテッド・イン・チャイナ)」へと転換し、中国製造業の世界競争力をアップさせるかが、中国政府と企業の大きな課題となる。インダストリー4.0は中国製造業がこの課題を達成する助けになる。
企業の発展から見ると、現在中国の企業の多く、特に労働集約型産業は伝統的な工業生産工程を続けている。このようなライン生産方式は労働力を解放できず、製造業の最末端の段階にある。
しかし中国の労働力コストの持続的上昇と人口ボーナスの消失に伴って、中国製造業の発展は労働力資源の欠乏によってますます制約されるようになった。そのため、中国の従来型製造業企業はスマート製造企業へと転換しなければならない。
実際、ここ数年で中国の一部企業は革新融合発展へのニーズが非常に高まり、インターネット企業との融合発展の面で効果的な探求を行っており、インターネット工業応用は品質向上と収益増加を促進し、モデル転換・グレードアップを実現する重要なルートとなっている。中国は企業のこのような発展のニーズに順応するべきである。
中国と西側諸国のインダストリー4.0におけるスタート地点は平等である。「インダストリー4.0」プロジェクトは二つのテーマからなる。一つは「スマート工場」で、スマートな生産システムとプロセス及びインターネットによって統合された分散式生産設備の実現を重点的に研究する。二つ目は「スマート生産」で、企業全体の生産物流管理、工業生産プロセスにおける人と機械のインタラクティビティ及び3D技術応用などが主に含まれる。同計画は中小企業の参与を重視し、中小企業が新世代スマート生産技術の使用者と受益者になるとともに、先端工業生産技術の創造者と供給者になれるようサポートする。
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