(2)安倍首相の衆議院解散と任期満了前総選挙実施の目的は、内閣と自民党が民衆に残した腐敗の「傷跡」をなくし、自身と内閣のイメージを再構築することである。安倍首相は2014年9月に内閣改造を行ったが、新内閣発足後間もなく閣僚の不祥事が相次いだ。まず露呈したのは小渕優子経済産業大臣と松島みどり法務大臣の経済不祥事だ。これら問題となった閣僚は最終的に辞任の形でさらなる内閣支持率低下を避けようとしたが、後任の宮澤洋一経済産業相も就任直後に資金管理団体の政治活動費不正使用問題が発覚した。宮澤氏はSMバーでの政治活動費支出が発覚すると、急いで菅義偉官房長官に電話をかけ、「ご迷惑をかけた。私は絶対に行っていない」と釈明した。日本の政治習慣からして、内閣で不祥事が発覚すると、メディアや社会はその内閣閣僚の不祥事をずっと追跡し続け、その政権に不利なさらに大きな不祥事が発覚することすらある。上記のような不祥事は間違いなく安倍内閣の信用と評判を損ない、さらなる支持率低下につながる災いの種となった。安倍首相は改めて衆議院選挙を行うことで不祥事を「なかったこと」にし、自身の政治生命を引き延ばそうとしたのだ。同時に、再選挙を通じて、若い議員を育成かつ取り込み、自民党内の反対勢力を抑え込み、非主流化しようとしたのである。
安倍政権と小泉政権には同じような劇場効果がある。すなわち、どちらも運動やスローガンで民衆を引きつけ、感化させる。あの手この手で劇場効果を作り上げて民衆の視線を引きつけ、新しい策を多数繰り出して民衆の目をくらませる。民衆がこうした政治家のやり口に疲れ、注意力が散漫になったり、ますます多くの社会問題で混乱したり、政治家の人心を惑わすスローガンを信じられなくなったりすると、ちょうど親がガラガラを揺らして1~2歳の子供をあやすのと同じように、政治家は何か新しい小細工で人々の視線を引きつけるのだ。任期満了前の国会解散と総選挙による大掛かりな仕切り直しは、ばらばらになり始めた日本国民の心を再び一つにまとめるためであり、さらに主要な目的は長期政権化である。このようなことをする政府にはほぼ同じ法則が見られる。常に小細工を弄し、それが功を奏している間は、政府の人気も支持率も高い。そうではなく、新たな手を打てず政府からの音沙汰がなくなれば、支持率も大幅に低下し、破滅への道を歩み退陣という選択肢を突きつけられることになる。
「北京週報日本語版」2014年12月8日 |