ロンドンの煙霧対策の経験は中国にとって非常に参考になる。しかもAPECブルーは青空を取り戻す希望と自信、ヒントをもたらした。汚染物質排出削減によって、煙霧は解消できるのだ。
しかし、汚染物質排出削減イコール企業の閉鎖・停止・制限ではない。クリーンエネルギーの使用量を増やして石炭の使用量を減らしても、技術改良によって排気ガス・廃水を回収しても、汚染物質排出を削減することができる。
10年前から、中国政府は環境汚染対策のため、省エネ・汚染物質排出削減政策を実施し始めた。最新目標は、「2015年までに、全国の国内総生産(GDP) 1万元当たりのエネルギー消費を標準炭換算0.869トン(2005年価格で計算)まで低減し、2010年の標準炭換算1.034トンより16%低減 (2005年の標準炭換算1.276トンより32%低減)させる。2015年までに全国の化学的酸素要求量と二酸化硫黄の排出総量をそれぞれ2347.6万トン、2086.4万トンに抑制し、2010年よりそれぞれ8%削減する。全国のアンモニア性窒素と窒素酸化物の排出総量をそれぞれ238万トン、2046.2万トンに抑制し、2010年よりそれぞれ10%削減する」というものである。この目標を達成するため、中国政府は鉄鋼、非鉄金属、建材、化学工業などの重点エネルギー使用業界に対し、製品13品目の製造工程を対象としたエネルギー効率ベンチマーク指標を相次いで設定し、重点エネルギー使用業界でエネルギー効率レベルの指標達成を目指す行動を推進し、業界の省エネ・汚染物質排出削減の先進的な経験と技術を普及させている。
しかし、汚染物質排出削減の実施には顕著な効果が見られていない。北京市の市街地域のクリーンエネルギー使用量は増加しているものの、北京市周辺のその他の場所におけるクリーンエネルギー以外のエネルギー使用量は依然として多い。また、技術改良による汚染物質排出削減はほとんど大型国有企業で実施されており、中小型国有企業と民営企業が技術改良に投じる資金は少ない。
その原因を究めてみると、一部の部門が省エネ・汚染物質排出削減の緊迫性と厳しさを十分に認識しておらず、政治的業績評価の思想に影響されて、地方官僚が一方的に経済成長を求め、構造調整や成長方式転換をあまり重視せず、経済発展と省エネ・汚染物質排出削減との関係を正しく処理することができないため、中央が打ち出した省エネ・汚染物質排出削減の政策と措置が効果的に実行できていないからだ。また、省エネ・汚染物質排出削減に役立つ価格、財政税収、金融などの経済政策はまだ不十分で、市場の奨励・制約の仕組みが完備されておらず、革新駆動力が不足しているために、企業の省エネ・汚染物質排出削減に対する内在的原動力が乏しくなっている。その上、省エネ・汚染物質排出削減の基準が完備されておらず、エネルギー消費と汚染物質排出削減の計量・統計体系の整備が遅れ、モニタリング・監察能力が不足しているため、省エネ・汚染物質排出削減対策能力もニーズに追いついていない。
したがって、汚染物質排出削減がよい効果を上げられないのは技術能力に限りがあるという問題ではなく、一部の政府官僚の思想と認識問題の解決に力を入れ、しかも関連政策が不十分で整合性がとれてない状況を変えることが当面の急務だと考える。
中国は省エネ、エネルギー消費量削減、汚染物質排出削減の取り組みを強化し、資源節約型で環境にやさしい産業を構築し、低消費、低排出、循環可能、持続可能な産業構造と生産様式を確立しなければならない。これは確固たる発展目標である。なぜなら、そうすることで初めて中国は持続可能な経済発展を実現させ、長期にわたってAPECブルーを続けていくことができるからだ。中国は現在世界最大の発展途上国であり、中国政府にとって経済発展と貧困脱出はかなり長期にわたる主要任務である。しかし汚染対策に力を入れ、優れた環境を整えることもまた、国の経済と人民の生活にとって同様に重要なものである。
「北京週報日本語版」2014年12月3日 |