本誌評論員 蘭辛珍
今年6月以来、国際石油価格は稀に見る下落傾向が続いている。ブレント原油価格は最高値の107.73ドルから暴落し、10月には1バレル=80ドルを割り込んだ。米国のメディアと関連機関は今回の石油価格下落を原油需要の大幅萎縮と供給過剰の「需給アンバランス」によるものと概括し、世界経済成長の減速で原油需要がより一層抑えられている一方で、世界の主要産油国OPECメンバー国が大幅増産を続けているからだとしている。しかし詳しく分析すると、この結論がすべて成り立つことはできない。石油価格下落は米国要因によるところが大きく、ひいては米国が故意に起こした経済戦だと考えることさえできる。その理由は3つある。
第一に、国際原油需要の大幅萎縮というのは事実と合致しない。中米両国は国際原油の主な需要国である。米国最大の石油会社であるエクソンモービル社の経営状況を見てみると、同社の米国市場における石油製品販売は1日当たり2650バレル前後を維持しており、2013年の1日平均2525バレルより5%増えている。一方、今年第1~第3四半期、米国の新車販売台数は昨年同期比で6%増えた。このことから、米国の石油製品販売量と需要は下がっていないどころか、かえって若干増加していることが分かる。また中国国家税関総署のデータによると、7月の中国原油輸入量は前月比2%増の2375万トン、8月の輸入は前月比6.1%増の2519万トン、9月の輸入は前月比9.5%増の2757.71万トンだった。つまり、国際原油価格が下落したこの数カ月間も、中国の需要は増え続けていたのである。
中国と米国の石油製品消費が増加を保っていたという事実は、石油価格下落を需要の萎縮に帰結することが実際状況にそぐわないことをはっきりと示している。
第二に、国際石油価格が下落し始めた6月下旬、国際社会からは重視されなかったある出来事が起きていた。6月21日、米国商務省が原油輸出規制を緩和し、国内企業に未精製原油の輸出を許可したのである。米国が原油輸出規制を緩和するのは40年ぶりだ。
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