APEC発展の整理統合と促進に役立つ
近年、APEC内部でRTA(地域貿易協定)/FTAが急増し、その数は2002年の70から2013年初めの257まで激増した。RTA/FTAには「ドミノ現象」が見られる。つまり、ある国がRTA/FTAを始動すると、隣国が貿易の移行による損失を避けるために、そのRTA/FTAに加わったり新たに別のRTA/FTA交渉を始めたりして、RTA/FTAが数量的に増殖してしまうのだ。
今、アジア太平洋地域では、重複するRTA/FTAがAPECの発展を阻む障害物になり始めている。特に目立つのは、各RTA/FTAが使用している異なる基準の原産地規則が「スパゲティ・ボウル現象」(乱立する原産地規則により同一商品の関税率が異なってしまい、その結果国際貿易が複雑化し、ぐちゃぐちゃな「スパゲティの入ったボウル」のようになってしまうこと)を引き起こし、そのために地域協力の運営コストと監督管理コストがかさみ、APECが一貫して提唱してきた貿易投資の自由化・円滑化という趣旨から離れてしまっている点である。RTA/FTAは数量的には増え続けているが、企業が輸出においてRTA/FTAの優遇関税率を活用する比率はまだ高くはない。それと同時に、RTA/FTAはAPECエコノミーのAPECに対する注目と重視を分散させ、本来ならAPEC交渉に用いられるはずだった大量の資源がRTA/FTA交渉と協調に割かれている。
FTAAPプロセスの始動はRTA/FTAの増加傾向を食い止め、APEC発展を再び促す重要なツールだと見られている。一つには、FTAAPプロセス始動はAPECの団結力を高め、先進メンバーがAPECの貿易投資自由化プロセス推進に失望して自らRTA/FTAを設けることを避けられる。その一方で、現在アジア太平洋地域に存在するRTA/FTAの条項は主に貿易や投資など従来分野に集中しており、高基準の自由貿易圏であるFTAAPは内容条項に含まれる範囲がより広く、その他の国が類似のRTA/FTAを設置することは難しい。この点はRTA/FTAの「ドミノ現象」を回避するのに役立ち、真の意味でアジア太平洋地域経済一体化プロセスとAPEC自体の発展を推進するだろう。
「北京週報日本語版」2014年10月24日 |