重要なのは、北京市の集中整備は、合法的かつ情理にかなうようにし、できるだけ市民と国民全体の関心の間でバランスをとるようにすることである。一時期、各メディアは北京市で多くの新聞・雑誌スタンドが強制的に撤去されたことを取り上げ、これはＡＰＥＣ会議を迎えるための環境対策の一環だと報道した。これは明らかに行き過ぎである。このような奇妙なやり方のもとになった考え方が北京市全体の環境整備にどの程度影響を与えるのかは不明だ。

　都市の建物の外壁は定期的に清掃・塗装することが必要だ。建物がどれも薄汚く、色褪せて塗装が落ちている都市は、美観が損なわれるだけでなく人の気持ちにもマイナスの暗示効果がある。このような都市は活力やダイナミックさに欠け、人々の創造力もかきたてられない。世界で経済不況に陥っている都市の多くは往々にしてこのような状況にある。繁栄は内から外へ表れるもので、都市の美しさは多くの場合、メンツの範囲を超える。

　２００８年の北京五輪開催前にも、北京ではインフラ建設を含む環境整備が集中して行われた。客観的に言えば、その多くの成果は今も一般市民や北京を訪れる人々に役立っている。しかし、その整備や建設にはムダで効率が高くないプロジェクトがあった。６年を経た今、北京市のＡＰＥＣを迎えるための環境整備がより高効率で、より実用的であることを望む。

　メディアの報道によると、今回の北京環境整備のスケールは五輪前の整備を超えているという。一部はそうかもしれないが、全般的にそうだと言うなら、全く信じられないし、北京市民の実感としてもそう受け止められてはいない。北京市民は２００８年の前のように「工事現場だらけ」だという感じは受けていない。今回の整備は五輪前の整備の成果を踏まえたものであるから、それほど大変ではないはずだ。長い目で見れば、北京の重要イベントのための環境整備負担は必然的にますます軽減されていくだろう。

　たとえそこに異論が含まれていたとしても、さまざまな声に北京市が耳を傾けることを望む。中国が前進する過程で、世界への認識と自己認識は徐々に累積し、発展してきた。さまざまな論争があっても気落ちするべきではない。人々が好奇心を持ち、進歩しようとする強い願いがあるからこそ、こうした論争が絶えないのである。

「北京週報日本語版」2014年10月17日