蘭辛珍
習近平国家主席が、今年4月に上海で開かれたアジア信頼醸成措置会議(CICA)第4回首脳会議で提起したアジアの新安全保障観は、アジア地域で徐々に醸成され、広く賛同と共鳴を受けた。人々は、アジアの新安全保障観がアジア諸国間の安全保障協力を主導することを望んでいる。それはこの安全保障観が本当にアジアに適しているからだ。
アジアの新安全保障観の内容は、共通の安全保障、総合的安全保障、協調的安全保障、持続可能な安全保障である。これはアジア諸国を代表して発したアジア自身の声だ。まず最初に、現在のところ、アジア諸国は安全保障理念と安全保障協力の面で発展が相対的に立ち遅れ、行動力を伴う全般的な安全保障枠組みが不足している。次に、今のアジアには、冷戦イデオロギーという古い安全保障観を信仰し、軍事同盟を結ぶことに熱中する人がまだいる。これは歴史の潮流に逆らい、アジアの安全・安定と発展に不利であり、現在のアジアと世界の発展にはなおさら適応できないものだ。アジア諸国の人々は、アジア自身に適した安全保障理念と枠組みを望んでいる。習主席が提起したアジアの新安全保障観はまさにアジアの現在と将来のニーズ、各国の人々の要求に適っている。
アジアの新安全保障観のうち、共通の安全保障とは、国の大小、貧富、強弱を問わずに、それぞれの国の安全を尊重し、保障することだ。まさに習主席が述べたように、安全は普遍的なものであるべきだ。一国は安全だが、他国は安全ではないようなことがあってはならず、一部の国は安全だが、その他の国は安全ではないようなこともあってはならない。さらには他国の安全を犠牲にして自国のいわゆる絶対的安全を求めてはならない。安全は平等なものであるべきで、各国は平等に地域の安全保障に参加する権利を持ち、地域の安全を守る責任も持っている。いかなる国も、地域の安全保障を独占して、他国の正当な権益を損なうことを求めてはならないのだ。
総合的安全保障は、従来分野の安全とそれ以外の分野の安全を包括的に守ることだ。今、アジアの安全保障には従来分野の安全保障も含まれると同時に、テロリズム、多国間犯罪、環境汚染、インターネット、エネルギー・資源、重大な自然災害など従来以外の分野の試練にも直面している。2つの分野の安全はどちらも保障されるべきだ。
協調的安全保障は、対話・協力によって各国と当該地域の安全保障を促すことだ。習主席は、アジアの安全保障は結局のところアジアの人々で守るべきだと提唱している。アジアの人々は、協力強化によってアジアの平和と安定を実現する能力や知恵を持っている。しかし、アジアは「開かれたアジア」であり、アジアの新安全保障観は他国の参与を排斥するものではない。習主席は「アジア諸国は自国内の協力を強めると同時に、その他の国・地域、国際機構との協力にもしっかりと力を入れるべきだ」と指摘し、「各国がアジアの安全保障と協力のために積極的かつ建設的な役割を果たし、ウィンウィン、オールウィンという目標達成に努めていくことを歓迎する」と述べている。
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