アジアは世界のアジアであると同時にアジア各国のアジアでもある。日本は当然自国を度外視することはできない。アジア地域の安定・繁栄・発展は、この地域内のすべての国に共通する責任であり、日本も自身の責任を無視することはできない。しかしかつて軍国主義侵略を発動した日本は、歴史を反省せず、アジア安全保障構築に力を尽くさないばかりか、むしろしばしばアジア情勢の不穏を煽り、緊張を作り出している。
実際、日本の偵察機が中国東中国海での軍事演習区域に侵入する前にも、自衛隊が鹿児島県奄美群島の離島で「離島奪還」訓練を行っていた。この離島は中国の水域に極めて近い。この訓練は、ロシア科学アカデミー極東研究所専門家のキスタノフ氏から、「『起こりうる武装衝突を想定している』というシグナルを中国に向けて発した」と指摘されている。
中日両国は「一衣帯水」と言われるが、歴史的な要因により、両国関係は微妙な状態が続いている。日本が冷戦のゼロサム思考で軍事力を誇示し「離島奪還」演習を行う前日、習近平・中国国家主席はCICAサミットで、「平和的方法による紛争解決を堅持し、武力使用や武力による威嚇に反対し、自国の利益のみを考えた紛争挑発や対立激化に反対し、近隣貧窮化政策や他国に損をさせ自国利益を図ることに反対しなければならない」と述べた。
中国は大国としての責任を担い、アジア自身による紛争処理の土台を築こうとしている。しかしそれとは対照的に、日本はその土台をぐらつかせ、アジア各方面の努力の成果を台無しにしている。
「共通、総合的、協調的、持続可能」を理念とするアジア安全保障観において、「共通」は最も重要な位置にある。ここでいう「共通」とは、各国の安全を尊重し保障することだ。この中には日本も含まれる。日本は自身がアジアの一員であることを忘れてはならない。日本も必然的にアジア安全保障の「実行者」であり「受益者」であるはずで、自国が身を置く環境をかき乱しても、最終的には他国を損なうと同時に自分にとっても利とはならない。
アジア各国が緊密につながる今日において、「善隣友好」こそがあるべき筋道である。カザフスタンのことわざの通り、「人の灯りを吹き消せば自分の髭まで焼いてしまう」のである。新しいアジアに積極的に溶け込み、歴史観と価値観を正し、戦後国際秩序・構造を守ることこそが、日本が取るべき処世の策なのである。
「北京週報日本語版」2014年5月28日 |