中国は一貫して南中国海の安定を大切にし、自らが地域情勢動揺の戦略的被害者になることをはっきり認識している。中国はアジア最強の国として、係争地域における行動を自制してきた。ベトナムとフィリピンも、中国の平和的発展を望む姿勢を見たからこそ、思い切って向こう見ずな行動に走り、中国のボトムラインを探ることができたわけで、そうして小国が南中国海で大国を挑発するという奇異な現象が起こった。地域安定はベトナム・フィリピンの貪欲と身勝手の犠牲になっている。
しかしベトナムとフィリピンだけが騒ぎ立てるなら、それほど大きな行動に出ることはできなかった。その証拠に、ベトナム政府自身も道理に背いていると悟り、大規模に暴徒を逮捕し始めたではないか。しかし米国は南中国海でベトナムとフィリピンをたきつけるという不名誉な役回りを演じることになり、南中国海の波瀾を巻き起こす風となった。
このような時にホワイトハウスがしゃしゃり出て中国を「非難」することは、殴打や破壊、略奪、焼き討ちに対する反省を求められたハノイの政治的圧力を軽減し、ベトナムと中国の「対抗」の全体方向を肯定するものだ。一部の東南アジア社会にとって、ホワイトハウスの発言は時に奇効を奏し、衝動を刺激する。この1年余りの南中国海と東中国海の情勢動揺には、米国の態度表明による撹乱がつきまとう。米国はそのソフトパワーを利用し、低コストで東アジアの安定を破壊しているのである。
米国が「アジア太平洋回帰」を発表後、西太平洋でいくつかの係争地の紛争が加熱し、世界はこの二者間の関係に気がついた。ベトナムやフィリピンなどはこの関係に乗じているにすぎない。彼らは安全保障上米国を頼りにすることのメリットを見誤り、彼らの南中国海での領土的野心実現をワシントンが本当に助けてくれると思い込んでいる。
米国の「アジア太平洋リバランス」戦略は東アジア問題と米国利益実現の「リバランス」であり、その代償として南中国海と東中国海の安定が犠牲になってもお構いなしだ。今、ベトナムは米国の南中国海政策に乗じて踊り狂い、中国のボトムラインに抵触し、自ら南中国海情勢動揺の台風の目になろうとしている。情勢がこのまま進展していけば、最終的にハノイが受け止められる能力を超えてしまうに違いない。
「北京週報日本語版」2014年5月26日 |