新世紀に入ってからも依然時代遅れの安全保障思想が害をなし、域外の大国が密かに駆け引きを繰り広げたことも、アジア安全保障情勢をより複雑にし、めまぐるしい変化をもたらした。また、「三悪」(テロリズム、分離主義、宗教上の急進主義)や国際犯罪など従来にはなかった安全保障問題が出現し、アジア大陸に「平穏を求めるならばリスクを考慮せよ」と警告し続けている。
しかし、どれほど複雑でめまぐるしく変化する安全保障情勢であっても、責任逃れの口実にはならないはずだ。すべての問題の解決の道は、「事在人為」(事の正否は人のやり方いかんで決まる)にほかならない。アジア安全保障を築き上げるには、やるべきことをやる必要があるだけでなく、時代の流れに順応することも求められる。共通の安全保障を求めるか、自身の安全のみに気を配るか?開放して受け入れるか、徒党を組むか?平和共存か、相互威嚇か?ウィンウィンを目指すか、食うか食われるかを目指すか?
進む道を模索する過程で、中国は自らの知恵で貢献してきた。しかも中国は、「冷戦時代のような、従う者は生き残り逆らう者は滅ぶ、食うか食われるかといったゼロサムゲームはもう時代遅れになり、相互信頼・互恵・平等・協力の理念こそが真に自国と地域の長期的安定を確実に保障できる」ことを行動で証明し続けてきた。
――ウィンウィンによって安全を保障する。第2次世界大戦終了後、欧州の政治家たちはその手ひどい失敗を反省し、欧州石炭鉄鋼共同体の構築から一体化の道を歩み始め、戦争という隠れた危険を永久に根絶することを決意した。彼らは、平和の実現には強力な経済的結びつきが欠かせず、各国が利益を共有し責任を分担して初めて確実な安全保障が可能になると確信していたからだ。
同様に、アジアでも利益の融合は衝突リスクヘッジの有力な保障である。バングラディシュ・中国・インド・ミャンマー経済回廊から中国・パキスタン経済回廊まで、シルクロード経済ベルトから21世紀海のシルクロードまで、中国・ASEAN自由貿易協定のグレードアップ版からASEAN10カ国と中、日、韓、豪、ニュージーランドを含む「東アジア地域包括的経済連携」まで……こうした取り組みの一つ一つが中国とアジアを緊密に結びつけ、アジア協力と発展に活力を注ぎ込んでいると同時に、中国がアジア安全保障秩序の積極的提唱者であり推進者であることも証明している。
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