5月の上海に、世界の注目が集まっている。ここで行われているアジア信頼醸成措置会議(CICA)は、中国の「ホスト国外交」によって異彩を放ち、アジア安全保障についての探求と思考によって意義深いものとなっている。
20日夕方、上海国際会議センターでアジア信頼醸成措置会議(CICA)首脳会議の出席者らを歓迎した習近平国家主席
経済発展の活力に満ちている一方で、安全保障情勢で不穏な状況が後を絶たない――矛盾しているかに見えるこの2つの側面は、まさにアジアの今を如実に描いている。21世紀は「アジア世紀」だという予言がますます多くの人に受け入れられているとすれば、いかにしてアジア安全保障の「短い板」(全体のレベルを下げる阻害要因のこと。ドベネックの桶理論による)を打ち破るかは、紛れもなくこの予言が実現するためのカギである。
いったいどうすればアジアの安全が十分に保障されるのか?この問いに答える前に、混乱した局面の背後にある深層原因を整理するべきかもしれない。
悠久の歴史は、アジアに無限の魅力を与えた。この地に花咲き、輝きを放ってきた数多くの宗教と文化が混ざり合い、アジアを人類文明進歩の尽きることない原動力にしている。そして新興国の集団的台頭と成長を続ける巨大市場によって、この大陸は21世紀の世界経済発展の重要なエンジンの役割を果たすこととなった。しかし、輝きの背後には、紛争という危険も潜む。そこには断ち切りがたく整理しがたい「歴史の難題」もあれば、西洋の植民者がこの大陸に残していった罪悪の火種もある。そしてさらには、冷戦期間中の二大陣営対抗がアジア各国に残した痛ましい記憶と癒えがたい傷跡もある。
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