地政学に馴染みのない一般中国人は、一部ASEAN加盟国の中米間「バランス」に対する重視を理解できない。中国の一部国際戦略学者は、ASEAN諸国がフィリピン・ベトナムに強引に引き込まれ、「中庸の道」から逸脱するか否かに注目している。ASEANの「中立」こそが地域全体の「現状維持」のキーとなる戦略要素であり、この地域が政治構造の動揺を回避するための重要な重しであるからだ。
東アジア平和安定維持に、「各方面」はいずれも責任を負っている。ASEANもそのうちの1つだ。中国の急成長で地域全体が利益を受けたが、違和感や懸念を持つ国もある。こうした不協和音を克服するために、ASEANと中国はパートナーとなるべきだ。中国とフィリピン・ベトナム間の摩擦がASEANに増幅することを望む声もあるが、これは明らかに多くのASEAN加盟国の利益に合致しない。
中国は一貫して周辺地域の平和安定は中国にとって重大な意義があると考えており、この態度と善隣政策によって築かれた周辺国との互恵関係は、東アジアが多くの係争があるにもかかわらず長期的に平和を維持してきた最大の支柱である。しかし中国にも自国の利益があり、米国の「アジア太平洋リバランス」は中国を締め出そうとする戦略的圧力になっている。多くの複雑な要因がからまって、中国の努力だけで一部の厄介な問題を解決できない状況になっている。
今後のパワーゲームと相互作用の中で、ASEANが長期的に揺るぎない戦略を維持することが極めて重要になる。この揺るがされることなく戦略を維持する力は、地域の大きな現実と大多数の国の長期的な実質利益から生まれるはずだ。ASEANも中国もともに平和的発展を最重視している。非普遍的で一時的な要因に私たちの視線を遮らせてはならない。(環球時報)
「北京週報日本語版」2014年5月13日 |