ASEANサミットが先週末、ミャンマーの首都ネピドーで開催された。会議のテーマは「平和と繁栄のため、ASEAN各国が団結し、前に進む」だったが、10日の外相会議終了後に発表された声明は、ASEANの南中国海情勢に対する「重大な関心」を示すものとなった。11日、ASEAN首脳会議は「ネピドー宣言」を採択し、各方面に自制と武力不使用等を呼びかけた。ASEANの正式文書で南中国海情勢を評論することは極めて稀である。
フィリピンとベトナムは明らかにASEANに圧力を加え、「沈黙を破らせた」。しかしフィリピン・ベトナムが得たものは多くはなかった。「宣言」は「超えてはならない一線」を守り、中国とフィリピン、ベトナムの国名は挙げず、西沙海域における中国の試掘作業をめぐる中越の海域摩擦についても言及しなかった。
南中国海問題は中国とASEANの一部加盟国との係争であり、中国と当事国とが二国間で解決すべきだというのが、中国が堅持してきた立場だ。フィリピン・ベトナムは常にASEANを引き込んで南中国海問題を「ASEAN化」しようとしており、ASEANにとって大きな難題となっている。フィリピン・ベトナムの努力が全く功を奏さないわけではないが、ASEANの中立的立場を変えることはできず、ASEANにマニラとハノイの利益を保証してもらうことはできない。
ASEANの全体利益構造はこれまでと変わらず、ほとんどの東南アジア諸国の中国と友好協力関係を築きたいというニーズに変わりはない。中国は侵略政策を実施する国ではなく、領土係争処理における中国の自制的態度は域内各国において衆目の認めるところだ。むしろフィリピン・ベトナムの居丈高な態度のほうが目につき、高慢にも「小さいものが大きいものに圧力をかけている」ように見える。
南中国海の係争は中国のASEAN戦略に影響を与えていないし、この近隣地域に対する中国社会の協力意欲と好感にも影響していない。平和的台頭の過程で起こる外部リスクについて、中国人は多くの推測と懸念を抱いてきたが、この問題をASEANと結びつけて考えたり語ったりした人はほとんどいなかった。現代中国人、特に中国の若者にとって、「東南アジア」という言葉で想像できるのは友好訪問、企業提携、観光だ。
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