半月礁は南沙諸島の島礁の1つで、北緯8度52分、東経116度16分、司令礁の東北約118キロ、フィリピン・パラワン島から110キロ余り離れた位置にあり、古来より中国の領土である。完全な環礁ではなく、半月形をしている。南北5.5キロ、東西約2キロで、南東の角に幅150~200メートル、水深13メートル前後の狭い潮の通り道があり、300トン級小型船が通過できる。漁業資源が豊富な上、良好な停泊地と天然の風避け港もあり、中国の漁民がよくこの付近で漁を行っている。2012年7月、中国海軍の護衛艦がこの付近の海域で座礁したが、救援兵の助けの下、自力で浅瀬からの脱出に成功した。
仁愛礁付近領海を侵犯した軍艦に燃料補給するフィリピン軍機
しかしフィリピンは「200海里排他的経済水域」を理由に、半月礁での活動を度々妨害してきた。1995年3月、フィリピン軍は中国の半月礁及び付近の五方礁等にある中国の石碑を破壊。香港紙「明報」月刊は1995年、その年の美済礁事件でフィリピン側は海軍巡視艇まで派遣し、空軍機の支援の下、半月礁付近に停泊していた中国漁船4隻を突如攻撃し、船上にいた漁民62人を拘留した、と報じた。
南中国海で中国との島礁争いが最も激しい国の1つであるフィリピンは、中国漁民の操業を度々妨害し、さらには拿捕まで試みている。2012年4月の「中国・フィリピン黄岩島対峙事件」はまさにそれが原因で発生した。当時、黄岩島の潟湖内で通常操業していた中国漁船12隻が、フィリピン軍艦一隻に操業妨害された。フィリピン軍艦は潟湖内にいた中国漁民を拿捕しようとしたが、駆けつけた中国海洋監視船2隻がこれを阻止。その後、中国の漁業監視船が黄岩島海域に駆けつけると、フィリピン側も艦船を複数派遣して、双方が数日にわたってにらみ合った。
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